第99回全国高校野球選手権大会第4日第4試合(大阪桐蔭8−1米子松蔭、11日、甲子園)1回戦4試合が行われ、史上初となる2度目の春夏連覇を目指す大阪桐蔭が好カード目白押しの大会第4日の“トリ”で登場。米子松蔭(鳥取)に8−1で快勝した。主将の福井章吾捕手(3年)が先制ソロを含む3安打の活躍でチームをけん引した。2回戦は第9日(16日)の第2試合で智弁和歌山と対戦する。

 優勝候補が続々と登場した中で、“トリ”をつとめた大阪桐蔭が快勝発進した。高校野球ファンが360度から、大先輩・藤浪晋太郎(阪神)もネット裏から見つめた初陣。主将・福井の一打が偉業達成に向けた号砲となった。

 「狙い球をしぼって振り抜けた。いい先制パンチになった」

 第1試合から中京大中京、横浜、興南と春夏連覇経験校が立て続けに姿を消したが、今春の王者は違う。一回一死。内角の変化球をとらえた打球は大きな弧を描き、右翼席に消えていった。その後も2本の二塁打を放ち、3安打。“聖地凱旋試合”で大暴れしてみせた。

 西谷浩一監督(47)は今年のチームの特長を問われたとき、まとまりの良さを挙げる。その前に「キャプテンの福井を中心に」と前置きをする。信頼は厚く、名将に「(監督は)ベンチで“置物”になっています」と言わしめるほどだ。

 部には伝統として、毎日の反省や出来事を書き込む「野球ノート」がある。福井の記録は2年半で10冊目に入るが、新チームが動きだし、主将になった昨夏は「自分のことは一切書かずにチームのことばかり書いていた」と振り返る。

 「自分自身、もっと声かけができたんじゃないか」−。「練習で気合が入っていなくて怒られたから、もっとやっていきたい」−。主将就任までの1年半で6冊だったノートの消費はこの10カ月で4冊。「No.6、7(冊目)はすごく内容が濃く、全部が詰まっている。苦労していたんだなと思う」。もっとも見返すのが1年前のノート。当時やっていたこと以上の取り組みをすればチームはもっとよくなると信じて突き進んできた。

 10冊目は残り10ページ。「逆算すれば決勝の日ぐらいでノートが切れますね」。前人未到の偉業を達成して余白を埋めるつもりだ。

 次の相手は名将・高嶋監督率いる智弁和歌山だ。「(今春の)近畿大会では勝たせてもらったが、そんなに簡単に勝てる相手ではない。打ち負けないようにしたい」。立ちはだかる壁は分厚いが、先頭に立つ主将の覚悟に揺らぎはない。 (須藤佳裕)

★名将対決に気合

 大阪桐蔭・西谷監督は信頼する主将の一打を「驚いた。いい本塁打でした」と笑顔で振り返った。2回戦で対戦する智弁和歌山・高嶋監督とは4日夜に会食したそうで「『和歌山から選手を獲らんといて』と言われました」と“けん制”されたことを明かした。歴代1位の甲子園通算64勝監督に挑む同43勝の西谷監督は、「甲子園で智弁(和歌山)とやるのは初めてですから」。合わせて107勝の“名将対決”に鼻息を荒くしていた。

福井 章吾(ふくい・しょうご)

 捕手兼内野手。1999(平成11)年4月23日生まれ、18歳。大阪府出身。克明小1年から豊中リトルで野球を始め、豊中市立第五中では箕面ボーイズでプレー。大阪桐蔭では2年春からベンチ入り。右投げ左打ち。1メートル68、73キロ。背番号「2」