大相撲秋巡業(13日、長野市ビッグハット)貴乃花巡業部長(元横綱、45)が、横綱稀勢の里(31)に情熱あふれる異例の指導を行った。土俵下から見守った同親方は、横綱が幕内正代(25)との三番稽古(同じ相手と何度も取る)で連続11番取ったうちの7番に身ぶり手ぶりを交えてアドバイス。「土俵の鬼」といわれた初代元横綱若乃花(故花田勝治氏)の仕切る体勢にまで言及し、稀勢の里の矯正に乗り出した。

 両腕を大きく広げた貴乃花親方が、土俵上の稀勢の里へ鋭い視線を投げかける。

 「先々代(初代若乃花)の勝治さんも、(稀勢の里の)先代師匠(元横綱隆の里)ももっと大きく仕切っていたぞ!」

 背中を丸めて腕を引きつけるような仕切りをみせる稀勢の里に対し、腕を広角へ伸ばして小さな体をその風格で大きくみせた「土俵の鬼」を引き合いに出して、矯正を行った。貴乃花親方の師匠は父の二子山親方(元大関貴ノ花)。その父の師匠が実兄だった先々代。稀勢の里が所属する二所ノ関一門の先輩横綱でもある。

 横綱は左上腕部などの負傷で、3場所連続休場中。11月の九州場所(12日初日、福岡国際センター)で再起を目指す。この巡業では初日から土俵へ上がり、連日精力的に三番稽古を続けている。19年ぶりに誕生した国内出身横綱のひたむきな姿に、「平成の大横綱」は仕切りの姿勢のみならず、惜しみないアドバイスを矢継ぎ早に送った。

 指導に応え、負傷のため影を潜めていた武器の左おっつけも多用した稀勢の里は「おかげさまでいい稽古ができた。(仕切る姿勢も)徐々に徐々にそういうふうにやっていけたら」。再起の場所で、威風を奏でる。 (奧村展也)