「今年の花火見物はどこに行こうかな」。放浪の天才画家・山下清の最期の言葉とされる。新潟県長岡市での光景を貼り絵にした代表作「長岡の花火」からは、その感動ぶりが伝わってくるようだ▼夜空に描かれ、消えていく“光と音の芸術”。一瞬の美と余韻が時代を超えて人々を魅了してきた。日本人にとって、切っても切れない存在である▼日本の花火大会のルーツは、1733年の江戸の「両国川開き花火」だそうだ。当時は炭火のような暗いオレンジ色だけだった。それが、今では多彩な色や形の花火が登場。コンピューター制御によって音楽に合わせて打ち上げる演出なども増えている▼発展の陰には花火師たちが受け継いできた「より良い花火を」という気概と努力がある。危険と隣り合わせの中での緻密な仕事はもちろん、観客を引き付けるプログラム作りも大変だ▼それだけに、大きな歓声や驚嘆の声は「花火師冥利(みょうり)」に尽きるだろう。長岡の花火では終演後に観客と花火師が明かりを振り、互いに感謝の気持ちを伝え合うのが恒例だ。一体感が大会の魅力を一層引き立てる▼岡山市内でも今夜、「おかやま桃太郎まつり」の納涼花火大会が開かれる。計6景に込められた花火師の意図を考えながら見るのも一興だろう。日々の憂さや暑さを忘れる“夢空間”で感動に浸りたい。(2017年08月05日07時39分更新)