地図帳や社会科教科書で知られる出版社・帝国書院(東京)を創業した守屋荒美雄(すさびお)氏(1872〜1938年、倉敷市出身)の業績を紹介する展覧会が8日、同市中央の市立美術館で始まった。地理教育の改革に力を尽くした情熱を物語る数々の著書と写真資料に、来場者が興味深そうに見入っていた。 守屋氏は倉敷市西阿知町西原生まれ。市内各地の小学校で教壇に立った後に上京、教員の傍ら地理教科書を執筆するようになった。さらに自分の思いを反映した教育書籍を作ろうと17年に帝国書院を創業。現代地理教育の礎を築いたとされる。 展覧会は同社が創業100年を記念して企画。文部省の教員検定試験受験者の必読書とされた代表作「動的世界大地理」(14年)、交通や産業、政治など人文分野の記述を盛り込んだ教科書「修訂 日本新地理 全」(09年)といった著書に、故郷倉敷の古写真や古地図を加えた計約100点を並べている。 「守屋さんは、鉱物学や地質学に根差した近代の地理教育を『無味乾燥』とし、世界の人々の生の営みを教えようとした」と同社の荻野和一郎特別顧問(74)。同社創業当時から現代までの地図帳や、昭和40年代の地図帳作成に用いた日本地図原図を原寸大で復元した「レリーフ地図」(約10メートル四方)なども展示している。 岡山県内の中学校で地理を教える男性(37)=浅口市=は「人の生活を地理教育に結び付けた見識に頭が下がる。こんな人物が岡山から出ていたとは」と目を見張っていた。 16日まで(14日休館)。入場無料。問い合わせは市国際課(086—426—3015)。