海の恵みのおいしさを“見える化”します—。そんな研究を岡山県水産研究所(瀬戸内市牛窓町)が進めている▼人間の舌の機能を再現した味覚センサーを使って魚介類の甘みやうま味を数値化する。味が乗る時季を科学的にはじき出して、消費拡大につなげる狙いだ▼いま、研究所が県民にアピールしようとしている魚の一つがハモである。上品な白身は湯引きやしゃぶしゃぶのほか煮てよし、揚げてよし。京都をはじめ関西では夏に欠かせぬ食材だが、岡山での需要はさほど高くはない。それでも勧めるのは、さばききれないほど捕れるからだ▼研究所によると、県内の水揚げ量はここ10年で倉敷・下津井が2倍、浅口・寄島町が3倍、牛窓町は10倍近くになった。他にマダイやキジハタも増えている。これらの魚種は温かい海を好むことから、地球温暖化が関係しているらしいという▼岡山県沖の平均海水温は過去30年で約1度上昇した。漁業の異変は全国各地でみられ、東北の三陸沖では2000年ごろから、西日本が主漁場である岡山名物・サワラの大漁が話題になった▼もっとも、増える魚ばかりではない。岡山の地物ではカレイやアイナメ、シャコが不振だそうだ。環境の変化で「味の海図」はどうなるのか。ハモしゃぶがたらふく食べられる、と手放しで喜んでばかりはいられない。(2017年08月12日07時53分更新)