一度は豪華なファーストクラスで優雅な海外旅行を。そんな夢を地上で手軽に疑似体験できる東京・池袋のレストラン施設が人気だそうだ▼再現された“機内”には実際に使用された最高級シートが並び、エンジン音やモニターに映る映像が臨場感を高める。ニューヨークやパリなど4カ所の目的地にちなんだ機内食を提供し、仮想現実(VR)技術による観光気分も味わえるというから楽しい▼今や、疑似体験はさまざまな場面で活用される。シミュレーション装置を使えば、車の運転やスポーツなどの本物に近い感覚を味わえる。高齢者などの身体機能の衰えを体験し、どうサポートするかも学べる。VRを駆使したゲームも次々登場し、売れ行きは好調だ▼人間関係も疑似体験できる時代になった。結婚式の人数合わせなどに利用される「レンタル家族」である。「絶縁状態の親の代わりを」「仕事でミスした。上司役で取引先へ同行し、謝罪してほしい」。依頼者の要望に沿って演じ分ける▼一緒に食事をしたり、映画を見たりといった「友人役」のニーズも高いそうだ。孤独を埋めたいという理由のほかに、その場限りの後腐れのない関係がいいという人もいるのだろうか▼リアルの人間関係を築くより、一足飛びにレンタルに走る。手軽さが受ける時代の、それも一方の現実なのだろう。(2017年08月13日08時00分更新)