17日に投開票が行われた長野市議会議員選挙の投票率は37.32%で、過去最低を更新しました。
最も身近な自治体であるはずの市議会に対する関心の低下が止まりません。
36の議席に対して51人が立候補した長野市の市議会議員選挙。
現職28人、新人23人が激戦を繰り広げました。
一方、市民は…?
長野市民:
「(今回51人で大勢出ているが?)そうなんですよね、びっくりしちゃって。どこで選んでいいのかちょっと分からないです」
期日前投票をした人に話を聞きました。

男性:
「3人定数は減ったとは言っているけれども、あまり多すぎて、あまり盛り上がらないね選挙自体が」
女性:
「知人だね、そういうので選んじゃいました今回は。自民とか政党じゃなくて」

保育士:
「(選択の基準は)子育てですかね。仕事柄、若いお母さんと赤ちゃんのお世話をしているので、そういうところにしっかりと政治の温かい手が伸びていくことを願っています」
投票では、知り合いや仕事柄推(お)している人を選んだという声が聞かれた一方、無所属や新人の候補が多く、政策も似ているため、違いが分かりづらいという声も…。
政党のマニュフェストも判断材料となる国政選挙とは異なり、今回の市議選の立候補者は無所属が38人。

政党の公認は共産党6人、公明党5人、日本維新の会2人の13人にとどまります。
無所属が多い背景として、市町村議会の議員には地区代表としての側面もあることがあげられます。
ベテラン議員は…。

当選9回・三井経光(みつい・つねみつ)候補:
「党に入っている人は新人でも党の力があるけど、普通に出てきても地区でOKしないと厳しいですね受からないですよ実際は。ただ出ても、言ってみても地区の後押しがないと」
市街地の北部、吉田地区が地盤の三井経光候補は、地区の代表を前面に掲げ、過去9回、当選を重ねてきました。
行政への要望を通すには、当選後の会派の力や経験も重要だと訴えます。
三井経光候補:
「新人の皆さんの声は聞くけど、行政は『はいはい』って言ってて動かない。それが実態じゃないですか。私も1期2期の時に相手にされなかった。もちろんそうです5期ぐらいになって初めてね…」
立候補者の中で、最も若い26歳の内藤武道(たけみち)候補。
大学卒業後、石川県で1年間、日本維新の会の議員秘書などの経験がありましたが、無所属で立候補しました。

内藤武道候補:
「長野で維新がどれぐらい響くか分からないですし、自分も維新にすべて陶酔しているわけでも、すべて賛成しているわけでもないので、いま変に色をつけるよりもとりあえず無所属で自分ができる活動としてできたらなと。特に政党に入るのは考えてなかったです」
組織や知名度、資金を示す「地盤、看板、カバン」はないとしながら、SNSでの発信のほか、ふるさとの朝陽(あさひ)地区を地道に回り、政策を訴えました。
一方、地域代表としての候補者を擁立できない中山間地域もあります。
今回の選挙で最下位で当選した人の得票は1,769票ですが、2005年に長野市に合併した大岡地区の有権者数は766人。
地域を代表する議員がいないことで、過疎化対策など地元の課題を市政に反映させることが難しいという声もあります。

農業の女性:
「山間地を見捨てないで欲しいなと思いますね。(地元で擁立しようというのは?)人がいないからね、一番はそれですよ」
帰省中の大学生:
「みんな他の県に行っちゃったりとかが多いですね。なかなか政治に関わるというのは聞かないですね」
17日に行われた投開票。
現職はベテランの三井さんを含む3人が落選し、25人が当選。
新人は日本維新の会が初めて議席を獲得するなど、11人が当選しました。
女性の当選は過去最多タイの9人。
「信州・生活者ネットワークながの」の山崎裕子(ひろこ)さんは、政党や地域代表という形ではなく、市民運動の延長として立候補し初当選しました。
グループでは、議員のノウハウや情報を共有し、多選を防ぐため、2期8年で交代しながら、女性の代表を送り続けてきました。
初当選した山﨑裕子さん:
「議会に『自分たちの代理として議員を送る』という意識で動いているというところが、違うのではないかと思う。長野市全体のお金の流れなどもしっかり調べて、本当に必要なところに情報もお金も流れるようにしていけたらいいなと思っています」

長野市議選の投票率は、前回を2.99ポイント下回る過去最低の37.32%でした。
議会の活動が見えづらい一方で、年間1,600億円以上の予算を持つ長野市。
有権者の関心をどう高めていくのか、新たな市議会の大きな課題の一つです。