<瀬崎一燿キャスター>
土石流の起点となった違法な盛り土の造成と放置について、熱海市にどこまで責任があったのか、見解が分かれました

<和田啓記者>
11月16日、熱海市が発表したのは、いわば『自己検証』です。『失敗だった』と総括した静岡県の第三者委の最終報告と比較します。

検証の重要なポイントとして、ピックアップしたのは2点です。

①盛り土の前土地所有者が造成や防災工事の際に提出した不備のある書類を熱海市が受理した事は問題ではなかったか?

②なかなか盛り土の安全対策を実施しない前土地所有者に対して、強制力のある「措置命令」を発令せず、見送ったのはミスではなかったのか?

1つ目の熱海市が不備のある書類を受理したことについて、静岡県の第三者委は「熱海市は受け身になり、違法な行為を許す要因になった」としていました。熱海市もこの点については「受付ざるをえない事情がその都度あったものの、この点は重く受け止める」としていて、失敗を認めた形です。

不備のあった書類を見ると防災工事の部分が空欄になっています。受け付けた当時の職員は、「ちゃんと工事さえすれば大丈夫だと思った」と話しています。

今回、最も見解が分かれ、私が最も驚いたのは、強制力のある「措置命令」を発令せず、見送ったことについての見解です。県の第三者委は「発出を検討する必要があった」と指摘したのに対して、熱海市は「措置命令は検討した。そして、見送りの判断は間違っていなかった」と反論といえる総括をしました。

見送りの判断の理由として挙げたのが防災工事です。前土地所有者が安全対策をするよう指導され、つくったものですが、十分な工事に見えますか?

<瀬崎キャスター>
穴を掘って木でせき止めているだけで心もとない

<和田記者>
施工した業者自身も「十分ではない」と認めています。熱海市は、木柵による簡単な水路や簡易的な排水設備を防災工事と認めていて、この工事を根拠に措置命令を見送りましたが、市は「この判断は間違っていなかった」と結論づけました。

被害者の会の会長、そして被災者に、今回の熱海市の総括をどうみたか、聞きました。

<母親を亡くした被害者の会 瀬下雄史会長>
「結論から言うと裁判対策かなと思っていて、既成事実作りだと思う。結果として、人災を引き起こしたわけですから、そこの義務の不履行があったんじゃないか。法的な瑕疵や責任、過失があったと追及していくところ。熱海市の総括の発表を受けて、結局、真実の追及は司法の場でしかなされないんだろうなと思います」

<自宅が被害を受けた太田滋さん>
「自分たちの都合のいい結論があって、それに対しする補足みたいなそういうことを考えてるんじゃないかなって思います。住民が望む復興を、市の見栄えのいい復興じゃなくて、もうちょっと住民、被災者が踏み出せるような方策を考えてもらいたい」

<和田記者>
道義的な責任と法的な責任を熱海市は区別している印象で、損害賠償請求訴訟で被告の立場にある市の立場が見え隠れするような見解になったことは被害者、遺族にとっては残酷にみえるのではないかと想像が難くありません。