深セン証券取引所のメインボードへの上場を目指している、浙江鋮昌科技(001270/深セン)が5月24日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。2795万株を発行予定で、公募価格は23日には発表する。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2010年設立の民営企業で、20年に株式会社化した。マイクロ波・ミリ波アナログフェーズドアレイレーダー用T/Rモジュール半導体チップの研究開発、生産、販売、技術サービスを主業務としており、主に窒化ガリウム、ヒ化ガリウム、ケイ素技術に基づく一連の製品や技術ソリューションプランを提供している。パワーアンプ用半導体チップ、低ノイズアンプチップ、アナログビームフォーミングチップ、フェーズドアレイ用受動部品などが主力製品だ。
 
 フェーズドアレイ用T/Rチップはフェーズドアレイ無線受発信システムの重要部品であり、同社の製品は主に軍事用レーダー、衛星インターアクセス、5Gミリ波通信の3大分野に用いられている。中国の軍事予算は年々増加しており、2012年の6503億元から21年には1兆3553億元とほぼ倍増した。中国は35年までに国防と軍隊の現代化を実現し、今世紀半ばには世界一流の軍隊を作る構想を立てており、今後も軍事予算はハイペースで増加し、同社製品が用いられるレーダーをはじめとする各種設備のアップグレードが進むものとみられる。
 
 また、中国の商業宇宙市場規模は2019年時点で前年比23.5%増の8362億元と急速に成長し、5G通信網も一層整備されるのに伴い、同社製品の需要も伸びることが見込まれる。
 
 同社は、低エネルギー消費、高効率、低コストのフェーズドアレイ用T/Rチップ技術を持つなどの技術力、顧客のカスタマイズ対応力の高さ、厳格な選抜を経て中国の軍事工業部門やグループとその傘下機関の取引先となっていることなどを強みとする一方で、対象としている製品市場分野が狭いこと、生産設備の自動化、最適化が遅れていることがボトルネックとなっている。また、売上比重の大きい国防分野が四半期、年によって受注量、受注額に大きな幅があること、 顧客が軍事関連企業に集中していること、シリコンウエハーなど主要材料調達を一つのサプライヤーに大きく依存していることなどが経営上のリスクだ。

 2021年12月期の売上高は2億1093万元(前期比20.60%増)、純利益は1億5997万元(同251.71%増)。22年1〜3月期の売上高は2022万元(前年同期比306.61%増)、純利益が1058万元(前年同期は414万元の純損失)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)