上海証券取引所の科創板への上場を目指している、江蘇華盛鋰電材料(688353/上海)が7月4日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。2800万株を発行予定で、公募価格は98.35元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は1997年に張家港市華盛紡績助剤廠として設立した民営企業で、2019年に現社名に変更するとともに株式会社化した。リチウムイオン電池電解液添加剤の研究開発、生産、販売を主業務としており、リチウムイオン電池電解液添加剤として用いられる炭酸ビニレン(VC)、炭酸フルオロエチレン(FEC)などの電子化学品、塗料などに用いる特殊有機シリコンを主製品としている。
 
 リチウムイオン電池電解液添加剤は新エネルギー自動車、電動二輪車、電動工具、UPS電源、モバイル基地局電源、太陽光発電ステーション、3C(コンピュータ、通信、家電)といった分野に広く利用されている。21年の売上構成は、VCが63.04%、FECが28.68%、特殊有機シリコンが3.98%。2020年の世界のリチウムイオン電池電解液添加剤市場における同社のシェアは20.89%で、業界1位となっている。
 
 世界のリチウムイオン電池電解液市場は安定的な成長を遂げてきたが、2020年の新型コロナによりリチウムイオン電池の生産ペースが低下するのに伴って停滞した。今年に入り世界的な感染状況が落ち着いてきたことで生産量が回復しており、25年には生産量が200万トンに達する見込みだ。電解液市場の成長に伴って、電池の性能を安定、向上させる添加剤の市場も拡大してきた。世界の生産量は2015年の7100トンから、21年には2万700トンにまで増えた。26年には6万2700トンにまで高まる見込みだ。また、中国の添加剤生産量も19年に1万1500トンに達し、26年には世界生産量の8割近い4万9000トンにまで成長するとみられる。
 
 新エネルギー産業、新エネルギー自動車産業の急速な発展に伴い、高いエネルギー密度、安全性、長いサイクル寿命、高い充放電速度、幅広い作動温度範囲など、リチウムイオン電池に対する要求は日増しに高まっている。その中で電解液添加剤市場はこれからますます注目を集めることになり、発展の見通しは明るいと言えそうだ。

 同社はVCの国家規格、FECの業界規格の制定を主導し、品質安定に向けた自己開発技術を持つなど高い技術力を持っていること、BYD、寧徳時代、三菱化学といった国内外の大手メーカーを顧客に持ち、アジア、欧米などの電解液添加物市場を開拓していること、環境保護を重視し、副産物のリサイクル利用に積極的に取り組んでいることなどを強みとしている。一方で、資金力や資金調達力が不足していること、VC、FECを除くリチウムイオン電池電解液添加剤や、特殊有機シリコン製品の取り扱い量が少なく、さらなる市場開拓が必要なことが課題だ。
 
 2021年12月期の売上高は10億1372万元(前期比127.97%増)、純利益は4億2043万元(同438.81%増)。22年1〜3月期の売上高は3億5184万元(前年同期比128.68%増)、純利益は1億7777万元(同275.96%増)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)