深セン証券取引所の創業板への上場を目指している、北京華大九天科技(301269/深セン)が7月19日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。1億859万元を発行予定で、公募価格32.69元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2009年設立の国有企業で、20年に株式会社化した。IC(集積回路)の設計、製造に用いるEDA(電子設計自動化)ツール・ソフトウェアの開発、販売、関連サービスの提供を主業務としている。ICの設計は主にアナログ回路設計とデジタル回路設計に分かれており、EDAツールもそれぞれに特性に合わせたソフトウェアの開発が求められる。同社の主製品はデジタル、アナログ回路の設計用EDAツール、フラットディスプレイ回路設計用EDAツール、シリコンウエハー製造用EDAツールなどで、IC設計業界、製造業界で広く利用されている。

 世界のIC市場規模は2014年の2773億米ドルから20年には3612億ドルと、年平均4.50%のぺースで拡大した。中国市場はこれを大きく上回る勢いで成長しており、14年の3015億元から20年には8848億元と年平均19.65%のペースで増加した。ICの開発に欠かせないEDAツール市場も安定的に規模が拡大している。世界のEDAツール売上高は18年の65億2000万ドルから20年には72億3000万ドルに増加した。20年の中国の売上高は66億2000万元で、そのうち国産ツールの売上高は約7億6000万元となっている。
 
 20年における同社の中国EDAツール市場シェアは6%で、中国本土企業ではトップだ。一方、中国市場の80%はケイデンス、シノプシス、シーメンスEDAの世界3大巨頭企業で占められており、同社を含む国内ブランドにとっては国内シェアを海外企業から奪取することが大きな課題である。
 
 同社は創業から10年あまりの間EDAツール分野に特化し、豊富な製品、技術の経験を蓄積してきたこと、高い技術力を持つとともに持続可能な研究開発体系を構築していること、アナログ回路設計、フラットディスプレイ回路において設計の全フローを網羅したEDAツールを提供可能であること、中国市場の国産ブランドシェアトップ企業として、高いブランド力を持っていることなどを強みとしている。一方で、世界のトップクラス企業と比べると技術レベル、市場シェアといった点でなおも大きな差があること、さらなる発展、規模拡大のために必要な人材が不足し、資金の調達方法も限られていることがボトルネックとなっている。
 
 また、この3年間研究開発費用が売上高の50%前後と大きな割合を占めており、今後も引き続き研究への資金投入が見込まれる中で十分なキャッシュフローを確保する必要があること、同社が所有している知的財産権に対する侵害行為、国際情勢が不安定な中で海外市場の開拓を進めていることなどの経営リスクが存在する。
 
 2021年12月期の売上高は5億7930万元(前期比39.66%増)、純利益は1億3930万元(同34.52%増)。22年1〜3月期の売上高は9700万元(前年同期比51.86%増)、純利益は1048万元(同64.34%増)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)