上海証券取引所の科創板への新規上場を目指している、北京英諾特生物技術(688253/上海)が7月19日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。3402万元を発行予定で、公募価格は26.06元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2006年設立の民営企業で、20年に株式会社化した。臨床現場即時検査(POCT)急速診断製品の研究開発、生産、販売を主業務としており、製品は従来の研究室用検査製品に比べて使用コストが低く、操作の敏捷性が高く、検査がスピーディーで、付帯機器やオペレーターに対する条件が低いといった特徴を持つ。呼吸器病原体の検査製品を主とし、出産育児、消化器疾患、肝炎などの分野向けに急速診断製品を手掛けている。販売先は中国のみならず、アジア、欧州、北米、南米、アフリカの70あまりの国・地域に広がり、品質の高さが広く評価されている。
 
 売上構成の9割前後は呼吸器系の病原体検査製品で、特に2020年および21年は新型コロナの検査製品の販売に注力。20年は売上構成の88.42%、21年は48.00%を占めた。

 世界の体外診断市場は医療市場において特に発展著しい分野の一つになっており、市場規模は2018年の650億米ドルから27年には1076億ドルと年平均5.75%のペースで成長する見込みだ。特に中国は発展が遅かったこともあって現在は世界全体を上回るペースで成長している。15年の市場規模は362億元で、20年には890億元と年平均19.71%で増加した。
 
 体外診断市場の中でもPOCT市場規模は成長が著しく、世界の市場規模は2015年の215億ドルから22年には405億ドルと年平均9.47%で、中国の市場規模は15年の43億元から24年には290億元と年平均20%を超えるペースで拡大する見込みだ。一方で中国ではPOCT市場規模が体外診断市場全体の規模に占める割合が16%と米国の70%、世界全体の45%に比べるとはるかに低いため、中国のPOCT市場は非常に大きな潜在力を持っていることがうかがえる。
 
 同社は北京、唐山、広州の3都市に研究開発センターを設け、遺伝子工学、バイオ科学、分子生物学、免疫学、機械製造などさまざまな分野のバックグラウンドを持つエキスパート開発チームが新製品の研究開発を進めていること、呼吸器系のPOCT急速検査試薬に特化しており、この分野の製品ラインナップで業界内をリードしていること、国内外で充実した販売チャネルを持っていること、新型コロナ検査製品によって多くの新しい顧客、販売チャネルを獲得し、ブランド力が向上したことなどを強みとする一方で、国内外の大手診断製品企業に比べて経営規模が小さくリスクヘッジ能力が低いこと、資金調達手段に乏しいことがボトルネックとなっている。

 また、新型コロナ試薬が参入企業の増加により競争が激化し、中国国内における試薬の集中調達政策もあって売価の下落、あるいは販売数減少の可能性があること、新製品の開発遅れ、重要技術の漏えい、優秀な人材の流出、呼吸器系の検査製品に売上を大きく依存していること、海外市場での売上が全体の約50%を占めており、国際情勢や為替レートの変動による影響を受けやすいことなどが経営上のリスクとして存在する。
 
 2021年12月期の売上高は3億2690万元(前期比68.48%減)、純利益は1億2025万元(同21.04%増)。22年1〜3月期の売上高は6949万元(前年同期比46.12%減)、純利益は2635万元(同61.85%減)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)