上海証券取引所の科創板への上場を目指している、深セン市路維光電(688401/上海)が8月8日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。3333万株を発行予定で、公募価格は25.08元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2012年設立の民営企業で、フォトマスクの研究開発、生産、販売を主業務としている。製品は主にフラットディスプレイ、半導体、タッチセンサー、回路ボードなどの分野で利用されており、フラットディスプレイ向けでは第2.5世代から大型化した第11世代までの全世代のフォトマスク生産能力を持つ。半導体向けでは250ナノメートルノードのフォトマスク量産を実現するとともに、180ナノメートル、150ナノメートルノードのフォトマスク生産重要技術を掌握、国外メーカーに依存してきた中国市場において国産化を実現した。21年12月期の売上構成はフラットディスプレイ用フォトマスクが72%、半導体用が19.51%、タッチセンサー用が6.06%、回路ボード用が1.53%となっており、フラットディスプレイ用では第6世代の売上が最も多く、以下第5世代、第11世代、第8.6世代と続いている。
 
 フラットディスプレイ向けフォトマスク市場シェア(売上ベース)は、20年時点で4.6%で世界8位、中国国内2位。特に第11世代の世界シェアは20年の13.97%から21年には19.21%まで増えており、20年時点で4位だった。

 世界のフォトマスク市場はフラットディスプレイ向け市場、半導体向け市場が主体となっており、フラットディスプレイ向け市場規模は2016年の671億円から19年には1010億円と年14.58%のペースで拡大した。20年には新型コロナの影響で903億円まで落ち込んだものの、21年には回復傾向を見せており、22年の予測市場規模は1026億円と19年を上回る見込みとなっている。なお、18年に韓国を抜いて中国が世界最大のフォトマスク市場となっており、20年には市場規模が世界全体の50%を超えた。
 
 また、半導体向けフォトマスク市場は2019年に世界市場規模が41億米ドルに達し21年には44億ドルを超えたものとみられる。世界最大の市場は台湾で、韓国、北米と続いており、この3市場だけで世界の80%近いシェアを持っている。中国の市場規模は19年時点で1億4400万ドルと世界の3.5%程度であるが、21年には1億9500万ドルと年平均16.32%の成長率で増加したとみられており、5G、AI(人工知能)、IoTなど新技術の急速な発展に伴って半導体の需要も高まり、半導体向けフォトマスク市場も急速に拡大しつつある。
 
 同社は中国国内初の第11世代フォトマスク生産ラインを整備し、フラットディスプレイ向けの全世代フォトマスク生産能力を持つなど高い技術力を備えていること、京東方など中国国内の有力ディスプレイ、半導体企業と良好な提携関係を築いていること、フォトレジスト技術を掌握し、フォトマスク製造までの一体化生産によりコストダウンを実現したことなどを強みとする一方で、資金力に限りがあること、米フォトロニクスや日本のエスケーエレクトロニクス、HOYAなど海外のリーディングカンパニーに比べると市場シェアや技術指標でなおも一定の開きがあることなどが課題となっている。
 
 また、市場競争の激化、石英基板、光学フィルムなどの主要材料を日本や韓国に依存し、生産設備をスウェーデンやドイツの企業から調達していること、売上の大部分が少数の顧客に集中していること、同社が高いシェアを持っている第11世代フォトマスクについて海外メーカーによる価格引き下げの動きがあること、フラットディスプレイ向けフォトマスクに売上が偏り、半導体向けの業務規模が小さいことなどが経営上のリスクとして存在する。

 2021年12月期の売上高は4億9359万元(前期比22.88%増)、純利益は2849万元(前期は368万元の純損失)。22年1〜3月期の売上高は1億4494万元(前期比53.54%増)、純利益は1104万元(前年同期は632万元の純損失)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)