深セン証券取引所の創業板への上場を目指している熵基科技(301330/深セン)が8月8日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。3712万株を発行予定で、公募価格は43.32元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2007年に東莞市中控電子技術有限公司として設立した民営企業で16年に株式会社化し、20年に現社名となった。生体認証を柱として、ドアロックやゲートなど出入口のインテリジェント化管理、スマートID認証、スマートオフィス製品およびソリューションプランを提供する国家ハイテク認定企業で、指紋、顔、静脈、虹彩などの生体認証技術とビジュアル、無線、IoTなどのコンピューター技術を融合し、商業、交通、金融、教育、医療、行政など様々な分野向けにID認証機能を持つインテリジェント端末、アプリケーションソフト、プラットフォームを提供している。2021年12月期の売上構成は、出入口用管理製品が68.72%、ID認証製品が15.02%、スマートオフィス製品が16.26%となっている。
 
 世界の生体認証市場規模は2015年の108億米ドルから19年には209億ドルとほぼ倍増、年平均17.9%のペースで増加した。24年には483億ドルに達する見込みで、20〜24年の平均成長率は19.1%となる見込みだ。中でも中国をはじめとするアジア太平洋地域の成長が著しく、19年の80億ドルから24年には208億ドルに成長し、20〜24年の平均成長率は世界全体を上回る22.3%と予測されている。中国市場でも19年の224億元から24年には600億元にまで成長するとみられており、市場規模の拡大に伴って新規参入する企業の数も増え続け、競争が激しくなっている。
 
 また、2019年の世界の生体認証市場では、過半数の56%が指紋認証技術となっており、顔認証が21.1%、虹彩認証が8.6%、静脈認証が6.2%、声認証が4.8%である。一方、近年ではより高い信頼性、セキュリティ性能を実現すべく、複合型の生体認証技術を導入する割合が高まり続けている。市場規模は20年の74億ドルから24年には181億ドルと、年平均25.1%という生体認証の成長率を超えるペースでの成長が見込まれている。中国市場も同じような状況だ。
 
 同社は成長著しい複合型生体認証技術で業界をリードしていること、業界規格などのルールづくりに積極的に参加していること、幅広い製品ラインアップを持っていること、世界に販売ネットワークを持つとともに、ローカライズサービスに長けていること、成形から加工、組み立てまで一体化した生産工程を確立していること、高いブランド力などを強みとしている。一方で、資金調達の手段が限られていること、生産能力が飽和状態であること、中小企業向けの製品、ソリューションプラン提供が主体となっており、大型のソリューションプラン提供能力が不足していることなどが課題だ。
 
 また、売上の約半分が海外向けとなっており、貿易摩擦や国際情勢の変化による影響を受けやすいこと、IPOに伴い調達予定の資金で米国での工場や研究開発センター建設など海外投資を計画していること、各期末時点で流動資産総額に対する在庫評価額の割合が25%前後あり、在庫品の価値低下が財務状況に大きな影響を与える可能性があること、為替レートや原料価格、研究開発費用の増加などにより利益率が低下する可能性があることなどがリスクとして存在する。
 
 2021年12月期の売上高は19億5528万元(前期比8.54%増)、純利益は1億8658万元(同10.82%減)。22年1〜3月期の売上高は4億3240万元(前年同期比1.35%増)、純利益は3129万元(同32.81%増)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)