深セン証券取引所の創業板への上場を目指している栄信教育文化産業発展(301231/深セン)が8月29日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。2110万株を発行予定で、公募価格は25.49元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2006年に西安栄信文化産業発展有限公司として設立した民営企業で、15年に株式会社化して現社名となった。児童用図書の企画、発行、児童用文化製品の輸出を主業務としている。ミドルレンジ〜ハイエンド児童用図書ブランド「楽楽趣」と、大衆消費向け児童図書ブランド「傲遊猫」ブランドを展開する。世界の図書の著作権ライセンス取得作品および自前の著作権作品は合計3200種類あまりに達している。特に自前の著作権作品の売上が増えており、全体の4割以上を占めるようになった。2021年の中国国内における児童向け図書売上額シェアは業界第2位の2.70%で、特に科学知識系図書では4.86%、幼児向け啓蒙図書では8.11%のシェアを獲得し、それぞれ業界第1位となっている。
 
 中国の図書小売市場規模は2015年の約600億元から19年には1023億元にまで拡大、20年には新型コロナの影響で970億元まで減少したものの、21年には986億元と再び増加に転じた。21年における図書小売市場の内訳では児童向け図書が28.15%と最も多くなっており、社会科学系の25.86%、教材の20.17%、文芸の12.86%と続く。児童向け図書分野は子どもの目を保護すること、親子で一緒に読むことが求められるため、他の分野に比べて紙媒体の需要が根強い。また、14年には20元だった児童向け図書1冊あたりの平均価格が21年には43.33元と上昇しており、中国の家庭における児童向け図書の消費レベル、消費ニーズが年々高まっていることがうかがえる。さらに、新型コロナを経て図書のオンライン購入が増え、その手軽さから図書の売上増に繋がっている。
 
 同社は子どもの生理、心理的要求の研究成果に裏付けられた、各年齢段階の子どもに最も適した図書を提供可能であること、中国の伝統文化、民族文化に根ざした作品を得意としていること、優秀なスタッフによる高い企画力、創作力を持っていること、海外の出版会社との幅広い提携により世界の良質な作品を中国の子どもたちのために提供できること、豊富な版権リソースを所有していること、オンラインの販売チャネルが充実していること、ブランド力の高さを強みとしている。一方で、さらなる発展に向けてはハイレベルな人材の確保、資金力の強化が課題となっていた。
 
 また、出版作品についてイデオロギー面で国の法律法規、政策による厳しい監督管理を受ける必要があること、民間資本の文化製品市場参入を国が奨励していることによる市場競争の激化、売上の約6割を占める著作権ライセンス取得作品について、定期的に契約更新が必要であることなどが経営上のリスクとして存在する。
 
 2021年12月期の売上高は3億7885万元(前期比0.85%減)、純利益は4063万元(同13.02%減)。22年1〜6月期の売上高は1億6682万元(前年同期比3.91%減)、親会社株主に帰属する純利益は1173万元(同25.01%減)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)