上海証券取引所の科創板への上場を目指している、深セン華大智造科技(688114/上海)が8月31日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。4132万株を発行予定で、公募価格は30日に発表する。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2016年に深セン華大基因医療設備有限公司として設立した民営企業で、20年に株式会社化して現社名となった。生命科学、バイオ技術分野に特化し、機器、設備、試薬、消耗品など関連製品の研究開発、生産、販売を主業務としている。プレシジョン・メディシン、プレシジョン・ファーミング、プレシジョン・ヘルスなどの産業向けにリアルタイム、全シーン、全ライフサイクルを網羅するデジタル化設備やシステムソリューションプランを提供する。これまでにDNAシークエンシング、DNAライブラリー構築、研究室の自動化など多くの分野で重要技術を獲得しており、16年の設立から21年末までに国内外で475件の特許を取得した。深センに本社を構え、武漢、長春、青島のほか米国、日本、ラトビア、アラブ首長国連邦などに分社、子会社を設けており、80あまりの国・地域で1300を超えるユーザーにサービスを提供してきた。
 
 同社が扱う次世代DNAシークエンシング(NGS)は、従来のサンガー法に比べて低コストで大きな労力を必要としないといった強みを持っており、2000年代後半から急速に技術が発展してDNAシークエンシングの主流技術となった。これにより世界のDNAシークエンシングのコストは09年の10万ドル前後から15年には1000ドル前後にまで低下しており、同社のシークエンシングシステムはコストを約500ドルまで低減させることに成功した。
 
 DNAシークエンシング技術はマルチオミクス研究、新薬開発、微生物検査、NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)、腫瘍診断治療、生殖医療などの分野で利用されてきた。また、近年では農業、林業、牧畜業、漁業、食品の安全、税関の検査・検疫、腫瘍の早期スクリーニングなどへと応用分野が拡大しており、なおも大きな潜在性を秘めている。
 
 同社はDNAシークエンシング分野の重要技術の多くについて特許を取得していること、新技術・製品の開発能力が高く、さまざまなシーンにおけるニーズをカバー可能であること、遺伝子工学や電子工学、情報学など多岐にわたる学術分野を横断する専門家チームによるソリューションプランを提供できることなどを強みとする一方で、急速に発展するDNAシークエンシング業界にあって経営規模拡大に向けた資金調達力が弱いこと、グローバルな販売ネットワークを構築しつつあるものの世界的な市場シェアはなおも低く、販売チャネルのさらなる充実が必要であることなどがボトルネックとなっている。
 
 また、市場競争の激化、製品や技術の新陳代謝が速いこと、技術や人員の流失、生命科学やバイオ技術の発展を奨励している中国政府の政策変化、国際貿易摩擦の激化による米国など海外からの原料調達、海外での販売、海外子会社から国内への技術移転への影響、制限といったリスクを抱える。このほか、2020年12月期は研究室の自動化事業を中心とする新型コロナ関連の売上が全体の約71%を、21年12月期も約60%を占めており、今後新型コロナの感染が収まることにより売上、利益が減少する可能性がある。
 
 2021年12月期の売上高は39億2863万元(前期比41.32%増)、純利益は4億7572万元(同86.13%増)。22年1〜6月期の売上高は23億6076万元(前年同期比20.52%増)、純利益は3億4269万元(同18.95%減)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)