深セン証券取引所の創業板への上場を目指している、恩威医薬(301331/深セン)が9月6日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。1754万株を発行予定で、公募価格は29.80元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2005年に西蔵玖玖医薬有限責任公司として設立した民営企業で、18年に株式会社化して現社名となった。中成薬と呼ばれる中国伝統薬(中薬)の製剤、化学薬品の研究開発、生産、販売を主業務としており、婦人科、小児科、呼吸器系の分野のOTC(非処方薬)に特化している。主力製品の「潔爾陰洗液」は、中国の都市小売薬局婦人科炎症中成薬分野の市場シェアが17〜21年の5年連続でトップとなっている。21年12月期の売上構成は、婦人科用製品が56.21%、小児向け薬品が15.50%、呼吸器系薬品が14.68%。
 
 中国では近年、政府が医薬業界の健全な発展を促す一連の政策を打ち出すとともに、都市と農村の医療保障制度の充実が図られており、医薬品市場は持続的に拡大することが見込まれる。また、国民の可処分所得増加、人口増、寿命の延長、高齢化、健康意識の高まりといった要素が薬品の消費増を後押ししている。そして、薬品の小売販売市場が年々成長しており、2013年の2558億元から、21年には4774億元にまで拡大した。今後、医薬分業の改革が進むことにより、小売薬品市場はさらなる成長が期待できる。
 
 同社は大手薬局チェーンとの緊密な提携関係に加え、中国国内31の省・直轄市・自治区に約6万店舗の販売ネットワークを持っていること、特に婦人科製品を中心として消費者や業界から信頼されるブランドイメージを確立していること、先進的な生産技術と充実した品質マネジメントシステムを確保していることなどを強みとする一方で、薬品の開発、販売ネットワークのさらなる拡大、ハイエンド人材の確保を進める上での資金力が不足していることがボトルネックとなってきた。
 
 また、売上の約半分を「潔爾陰洗液」に依存していること、市場競争の激化、現在中国の医療保険適用薬品リストに収載されている「化積内服液」、「六味地黄カプセル」が今後リストから外れた場合に売上が大きく減少する可能性があること、原材料価格の上昇、品質管理不行き届きによる重大な事故や行政処分の可能性といったリスクが存在する。
 
 2021年12月期の売上高は6億7969万元(前期比7.18%増)、純利益は1億173万元(同3.28%減)。22年1〜6月期の売上高は3億3478万元(前年同期比0.47%増)、純利益は3918万元(同11.91%減)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)