上海証券取引所の科創板への上場を目指している、煙台徳邦科技(688035/上海)が9月7日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。3556万株を発行予定で、公募価格は6日に発表する。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2003年設立の民営企業で、20年に株式会社化して現社名となった。電子工業向け接着剤および機能性フィルム材料の研究開発、生産を主業務としており、製品はIC(集積回路)の実装、スマート端末の実装、太陽光パネルなどの新エネルギー分野といった新興産業分野に広く利用されている。ハイエンドの電子実装材料分野では完全な研究開発、生産体系を構築するとともに、自前の知的財産権を持つ生産体系を確立している。
 
 2021年12月期における売上構成は、新エネルギー分野向け材料が45.93%、スマート端末実装材料が30.82%、IC実装材料が14.35%、ハイエンド設備向け材料が8.90%となっている。
 
 中国のIC産業は、市場ニーズの高まりと国の奨励政策によって急速に市場規模を拡大しており、2016年の4336億元から20年に8848億元と倍以上に成長した。これに伴い、ICの実装に欠かせない接着剤や機能性フィルムの需要も伸びている。また、スマートフォンや完全ワイヤレス(TWS)イヤホンなどのスマート端末では、端末の高性能化に伴って導電性、強度、靭性、耐薬品性、密封性に優れた実装用材料のニーズが顕著に高まっている。このほか、主に電気自動車向けの動力電池、太陽光発電など同社製品が関連する新エネルギー分野も目覚ましい発展を遂げており、同社製品に対する需要も旺盛だ。一方で、中国のIC実装材料産業は世界の先進レベルからはなおも一定の距離があり、国内市場は主に輸入製品に対する大きな依存が続いている。同社を含む国内メーカーにとって、中国政府による国産品奨励の流れに乗って技術の向上や研究開発に注力し、海外主要メーカーの牙城を崩してシェアを伸ばすことが大きなテーマだ。
 
 同社は中国国内メーカーの多くがローエンドからミドルレンジ向けの製品を手掛けているのに対し、ハイエンド向け製品を扱っており国内業界をリードしていること、豊富な製品体系を持つこと、寧徳時代をはじめ、中国国内の半導体メーカー、電子機器メーカー、動力電池メーカーなどを中心に良好な顧客リソースを持っていることなどを強みとする一方で、さらなる発展に向けた資金力不足、日々高まる需要に対して生産能力が不足していることなどがボトルネックとなっている。
 
 また、業界の競争が激しく、常に新しい技術、製品をハイペースで開発する必要があること、売上の4割以上を占める新エネルギー分野向け材料の粗利率が10%台と低く、なおかつ原材料の高騰により粗利率がさらに低下傾向にあることなどが経営上のリスクとして存在する。
 
 2021年12月期の売上高は5億8433万元(前期比40.07%増)、純利益は7612万元(同57.22%増)。22年1〜6月期の売上高は3億7583万元(前年同期比59.69%増)、純利益は4405万元(同84.95%増)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)