上海証券取引所の科創板への上場を目指している、浙江帕瓦新能源(688184/上海)が9月7日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。3359万株を発行予定で、公募価格は6日に発表する。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2014年設立の民営企業で、16年に株式会社化して現社名となった。リチウムイオン電池の三元正極材料前駆体の研究開発、生産、販売を主業務としている。ニッケル・コバルト・マンガン(NCM)三元正極材料前駆体が主力製品で、リチウムイオン電池の重要材料としてその生産に用いられ、同社製品を用いたリチウムイオン電池は新エネルギー車の動力電池、コンシューマー電子製品、電動工具などの分野で広く利用されている。確かな開発力、優れた製品品質、安定した供給により、動力電池の世界大手である寧徳時代のサプライチェーンにも組み入れられている。

 2021年12月期の売上構成は、主に動力電池の材料として用いられる単結晶型NCM三元前駆体が80.19%、コンシューマー電子製品・電動工具に用いられる多結晶型NCM三元前駆体が19.38%。20年における同社の三元前駆体市場シェア(出荷量ベース)は2%で業界第10位。単結晶型NCM三元前駆体では6.54%と比較的高いシェアを持つ。
 
 中国の高工産業研究院によれば、世界の動力用リチウムイオン電池出荷量は2020年に186ギガワット時に達し、リチウムイオン電池出荷量全体に占める割合が61%に達した。新エネルギー車産業の急速な発展に伴い、動力用リチウムイオン電池の需要は急速に高まる一方だ。中でも、中国国内の市場拡大が目覚ましく、20年の動力用リチウムイオン電池出荷量は80ギガワット時と世界の約半分にまで迫っている。25年には7倍近い545ギガワット時に達する見込みだ。また、コンシューマー向けロボット、スマート家具、ドローンなどの大型、中型の電子消費財も日常生活に浸透しつつあり、新エネ車とともにリチウムイオン電池需要の急拡大を支えている。
 
 一方、中国では2020年、三元系動力電池の出荷量が48ギガワット時で前年を4.19%下回った。リン酸鉄リチウムイオン電池市場が急速に伸び、三元系電池が持っていたシェアを一部食ったことが原因と見られるが、同社はリン酸鉄リチウムイオン電池について、エネルギー密度の向上する余地が小さいと指摘。新エネ車の動力性能、航続能力向上、三元系動力電池の安全性技術向上に伴い、今後も三元系が動力電池の主要技術路線となるとの見方を示している。
 
 同社は優れた研究開発チームを持ち、高い技術開発力を持っていること、先進的な工程により製品の高い品質を確保していること、大手電池メーカーのサプライチェーンに参加していることなどを強みとする一方で、急拡大するニーズに答えられる十分な生産能力に欠けており、設備投資などを行う資金調達力に乏しいことがボトルネックとなっている。また、売上の大部分を少数の顧客に依存していること、単結晶型NCM三元前駆体に製品が集中しているほか、業界のトレンドとなりつつある高ニッケル三元系電池に対応した製品の開発で遅れをとっていること、市場競争のさらなる激化、原材料価格の高騰に伴う粗利率低下などが経営上のリスクとして存在する。
 
 2021年12月期の売上高は8億5790万元(前期比48.17%増)、純利益は8341万元(同2.04倍)。22年1〜6月期の売上高は8億7686万元(前年同期比2.49倍)、純利益は6945万元(同68.79%増)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)