上海証券取引所の科創板への新規上場を目指す、湖南航天環宇通信科技(688523/上海)が5月24日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。4088万株を発行予定で、公募価格は21.86元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2000年設立の民営企業で、15年に株式会社化した。航空宇宙技術設備、航空宇宙関連製品および衛星通信設備などの研究開発、製造を主業務としており、主に航空宇宙分野の研究所や機関に技術ソリューションと製品製造を組み合わせたサービスを提供している。宇宙関連設備では衛星搭載マイクロ波アンテナ、マイクロ波部品、熱コントロール部品などを扱い、航空宇宙技術設備では金属・複合材料部品成型設備、組立用ブラケット、複合材料部品自動化生産ライン、機体組立生産ラインなどを手掛け、ARJやC919など中国製民間航空機および軍用機の部品製造設備を提供している。
 
 また、航空製品では金属材料や複合材料を用いたエンジンブレード、機体、翼、垂直尾翼などを提供。衛星通信・計測制御試験設備では、衛星通信アンテナ、地上計測制御アンテナ、特殊計測制御設備を提供。中国電科、中国電子、中国星網、航天科技、航天科工など国有企業の傘下機関と取引関係を持つ。
 
 22年12月期の売上構成は、航空宇宙関連製品が36.05%、航空宇宙技術設備が29.57%、航空用製品が17.03%、衛星通信・計測制御試験設備が17.35%。軍用向けの売上が全体の85.99%を占め、民間用は14.01%となっている。
 
 有人宇宙飛行、月探査、北斗ナビゲーション、大型飛行機などの国の重大プロジェクトに数多く参加するなど、航空宇宙分野において優れた技術体系を持っていること、経験豊富で技術力が高い人材を揃えているほか、豊富な研究開発、生産、管理経験を持っていること、航空宇宙分野に参入可能な高い品質コントロール力を持つことなどを強みとする一方、資金調達チャネルの不足により生産規模の拡大が滞っていることがボトルネックとなっている。
 
 22年12月期の売上高は4億141万元(前期比31.22%増)、純利益は1億2825万元(同51.06%増)。23年1〜3月期の売上高は2538万元(前年同期比3.07倍)、純利益は528万元(前年同時期は729万元の赤字)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)