最近、広東省広州市、遼寧省瀋陽市、江西省南昌市などの街角に、大量の1元コインが入った箱が出現し、街行く人々の注目を集めている。
 
 箱は主に地下鉄の駅やバス停のそばに置かれ、
 
 
 「もしも急にお金が必要になったら、ご自由にお取りください。ひとり5元まで」
 
 
 と書かれたメッセージボードが添えられていることが多いようだ。防犯目的ではなく、あくまでも町の人々の反応を知るために、近くにカメラが設置されている場合もあるとのこと。
 
 シェアサイクルやシェア傘の私物化が問題視されている中国において、「自由にお金を取っても構わない箱」が現れたら、あっという間に空っぽになってしまうのではないかと思いきや、各地で意外な結果が出たようだ。
 
 瀋陽市でこの活動を行った史さんによれば、500枚の1元コインが入った箱を2つ設置しておいたところ、回収した箱には合計742元が残っており、当初用意したコインではない、紙幣の1元札も入れられていたという。
 
 広州市においても、同様に500枚の1元コインが入った箱を置いたそうだが、持って行く人はいても、断り書きにある枚数以上を取る人はおらず、また小さな子どもがコインを入れて去っていく姿も見られ、減ったお金は100元程度だったという。
 
 江蘇省常州市に至っては、最終的に20元近く増えており、持ち出されたお金よりも、人々が善意で置いていったお金のほうが多かったそうだ。
 
 この一連のニュースを見た中国のネットユーザーの反応は、「カメラが設置されているのがわかっているからだ」「カメラを外してやってみればいい」「国民の民度の低さは、すでにシェアサイクルが証明しているだろう」「1元コインじゃなくて100元札だったら?」といった、冷静なものがほとんどで、善意の行動をする人の存在を否定はしないものの、この程度のことでは「中国国民の民度の向上」を実感することはできないという意見が多数派だ。
 
 「シェアサイクルに、シェアバイク、シェア傘、今度はシェア人民元か」というコメントにも見られるように、中国は今とにかく「シェア」によって国民の民度をはかる活動が時代の潮流のようである。
 
 
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 中国の地下鉄の券売機は、低額の紙幣は入れられないことが多く、投入可能な紙幣を入れても感知されずに返ってきてしまったりして、1元コインがなくて困ることがときどきあります。
 
 また、中国のバスには両替機がなく、切符売りの乗務員が乗車していなければ、おつりを貰うことができません。仮に3元必要な行き先まで乗車したいのに10元札しか持っていないという場合は、まず手に10元札を持ち、その手でコイン投入口をふさぎ、後続の乗客が投入しようとするコインを一時的に受け取って、7元のおつりができるまで運転手さんの横で待たなくてはなりません。
 
 最近はICカードを使う人が大半で、現金で乗車する人も少ないので、下手をすると下車するまでにおつりが集まらないということも起こります。
 
 こういった事情から、交通機関において「急遽小銭が欲しい」というニーズはかなり高いので、活動を始めた善意の人に感謝の声が集まる一方で、「本来鉄道会社やバス会社側がやるべきことでは」という意見もあるようです。(イメージ写真提供:123RF)