これまで、中国の教育体制の競争が年々激化していたが、一気に「ゆとり政策」に舵を切り、国内外で話題になっている。日本でも実施されたことのある「ゆとり教育」の中国版、などと報道されているこの政策が目指すものとは何か。中国メディアの見聞坊が、その本来の目的を紹介している。

 「中国版ゆとり政策」とは正式には「双減政策」などと呼ばれ「宿題」と「学習塾」の二つを減らすようにと、中国の教育部が通達したもの。学生たちの「宿題軽減」と「学習塾への通学を減らす」こと、さらにこの政策に逆らった場合には罰則まであるという。具体的には、「言語、数学、英語、物理、化学、生物、政治、地理、歴史の主要9教科の塾通いが認められなくなる。 例外は体育のみ」とのこと。この政策を受け、中国国内の教育関連企業の株価も軒並み下落している。

 中国は、なぜこれほどまでしてこの厳しい政策の施行を通達しているのか。その理由として「近年、宿題と塾に追われる子供たちのメンタルヘルスが急速に悪化していることが社会問題になっているため」と明かしている。

 では、この政策を採ることでどのようなメリットがあるのか。1つ目のメリットは「子供たちの生活に余裕が生まれ、生活の質が向上する」と述べている。「これまで青空を見る余裕すらなかった子供たちが空を眺め、景色を眺める時間がようやく生まれる。またスポーツをし、友達と過ごす時間ができるようになる」ということ。

 2つ目のメリットは「塾が一斉に禁止されても、センター試験の難易度は変わらない。みんなが塾に行っていないため、経済的な事情で塾に通えていない子供たちも不公平感を感じることなく、センター試験に臨める」という点。

 3つ目のメリットは「スポーツを習う子供たちが増えることで、子どもたちの体力が向上する」というもの。

 日本では2000年代に実施された「ゆとり教育」は学力低下を招いたと批判されており、受験産業はこの点を利用して塾通いを勧めるキャンペーンを行った。結果、「ゆとり教育」は「教育格差」を生む結果となったと批判する専門家もいる。今回の中国の「双減政策」は、塾通いと宿題の両方を減らすとの大胆な政策であり、今後の動向が注目されている。(編集:時田瑞樹)(イメージ写真提供:123RF)