「商品の袋が開けづらい」「お店の中が寒い」……。わざわざ伝えるまでもない、ちょっとした不満やクレーム。日常生活の“はけ口”のない不満に価値を見いだし、買い取ってくれる企業が話題をよんでいる。

 その会社の名は「不満買取センター」。2012年に設立された株式会社だ。商品や店舗、サービスから家庭が抱える問題まで、世の中のあらゆる「不満」を買い取っている。不満を抱えている個人はホームページで会員登録し、不満内容を入力して投稿する。不満1件あたりの買取価格は1-25円まで。平均単価は10円ほどで、商品名や店名を含む投稿にはより高い値が付く。500円分のポイントが貯まると「Amazonギフト券」を交付する。

 「家庭における不満も買い取っているのは、世相を分析する材料として活用できるため。たとえば『旦那の帰りがおそい』という投稿があったとき、季節によるのか、特定の業種が忙しいためか原因を探れます。最近は季節柄『今日は花粉がひどい』といった書き込みが目立ちます」

 と話すのは鈴木翔一朗社長。前社長の興した不満買取センターを今年1月に引き継いだ。もともと同社は元住宅メーカーの営業マンだった森田晋平前社長によって設立された。顧客から寄せられる不満を目の当たりにしてビジネスの種になるのではと考えた。

 不満買取センターでは収集した不満を業種別に分類し、冊子の『不満コレクション』として販売している。飲食業編に収録されている不満例を紹介すると「分煙をもっと進めてほしい」「テーブル配置が隣と近いのでもっと離してほしい」「トイレの芳香剤のにおいが漏れている」(飲食業編10002014年版より)といった具合。膨大な不満がランダムに羅列されている。

データ解析力を強化

 『不満コレクション』に掲載されたユーザーの声を製品開発に役立てる企業も現れはじめた。帰宅時間の遅くなってしまったサラリーマン向けに奥さんのご機嫌を取るケーキセットを洋菓子店が販売したり、小売店ではビニール傘の盗難防止用のゴムバンドを傘とセットで販売したり。

 「子どもを安心して乗せられる電動自転車がほしい」

 ある電機部品メーカーでは電動アシスト自転車の開発にあたり、こんな不満が寄せられている点に着目した。径の小さいパンクしないタイヤを採用し低重心に。アルミで軽量化を図り、緩やかにこぎ出せる回生モーターで取り回し性も高めた。「子どもの安全を守る自転車」というコンセプトが子育て中の母親世代を引きつけ、ヒット商品となっている。