2020年・2021年放送の大河ドラマ『麒麟がくる』。「光秀の人生と戦いの舞台を歩く」では、主人公である明智光秀の生涯や参戦した合戦の軌跡をたどり、出来事の背景や舞台となった城を紹介します。第3回は、織田家に仕官したばかりの光秀が参戦した金ヶ崎の戦いや比叡山焼き討ちと合戦に関わる城について解説。(※2020年7月6日初回公開)

光秀が信長に接近するきっかけ
NHK大河ドラマ『麒麟がくる』の、越前(現在の福井県)での展開場面を覚えていますか? ユースケ・サンタマリアさん演じる越前の戦国大名・朝倉義景は光秀を見下した様子で、光秀はすでに苦労させられていました。

光秀は主君・斎藤家の道三(どうさん)・義龍(よしたつ)父子が対立した長良川の戦いで道三に味方し、道三が敗れたために故郷の美濃(現在の岐阜県)から越前に逃れました。こうして越前で雌伏の時を過ごすことになった光秀が世に出る好機と捉えたのが、のちの室町幕府15代将軍・足利義昭の亡命です。義昭は、兄であり室町幕府13代将軍の足利義輝の暗殺事件(永禄の変)で動乱する京から逃げ、越前で幕府再興を目ざそうとしたのです。将軍家の血を引く義昭を奉じて京に入れば、中央政権で強い発言力を持てます。光秀はそう言って義景に上洛を勧めましたが、義景は首を縦に振りませんでした。

そこで次に義昭が頼みの綱としたのが、ドラマでは染谷将太さんが演じる織田信長でした。当時、信長は斎藤家を滅ぼして美濃を手に入れており、越前と美濃は隣国同士ということもあって協力を求めやすかったのです。このとき、光秀は義昭と信長の橋渡し役を名乗り出たといいます。信長の正室・濃姫(別名・帰蝶。ドラマで演じているのは川口春奈さん)は道三の娘であり、また光秀自身も濃姫の従兄弟だったことから、濃姫を通じて信長に取り入れると考えたのでした。