『塞王の楯』(集英社)で2021年下半期の直木賞を受賞した、作者の今村翔吾さんへの特別インタビュー後編。『塞王の楯』にかける思いや執筆の舞台裏を聞いた前編に続いて、後編では歴史とお城が好きになったきっかけや作家以外の活動など今村さんのパーソナリティに迫ります。

『真田太平記』が創作活動の原点
『塞王の楯』で直木賞を受賞した今村翔吾さんには、「異色の作家」という形容詞がよくつく。若き日は家業であるダンスインストラクターをしており、専業作家になる前は埋蔵文化財の発掘調査を行っていた。現在は売れっ子作家でありながら、書店のオーナーでもある。

直木賞受賞の連絡を受けた際には報道陣の前にもかかわらず涙を見せ、そうかと思うと記者会見にはなんと人力車で登場。作家・今村翔吾さんとはどんな人物なのか? インタビュー後編では、彼のパーソナルな部分に迫ってみたい。

——受賞後の記者会見では、池波正太郎氏と同じ37歳で直木賞を受賞するために「今年しかなかった」とおっしゃっていましたが、この『塞王の楯』はそれだけ自信作だったということでしょうか?

(今村)
作家デビューをしてから直木賞獲得をずっと公言していますので、すべて獲るつもりで書いています!(笑)。 じつを言いますと、『塞王の楯』を皮切りに4作連続で勝負作品をぶち込むという作戦を立てていました。4作どれもが直木賞を獲ってもおかしくないという気合いの入った企画で、『塞王の楯』はその先鋒だったわけです。4作とも受賞しなかったらしばらくは獲れないだろうなとも考えていましたので、今回直木賞受賞の報告を聞いたときは安心しましたね。