各地に残る天守には「黒い天守」と「白い天守」があるって知ってますか? どちらの色も美しいですが、色の違いには何か意味があるのでしょうか? 

外壁の仕上げ方で変わる天守の色
城のシンボルである天守。その外観は城によって様々で、それぞれの違いを比較するのも城めぐりの醍醐味の1つです。外壁の色でも、天守は大きく「下見板張(したみいたばり)」と「白漆喰総塗籠(しろしっくいそうぬりこめ)」の2種類に分類することができます。

「下見板張」とは、漆喰で仕上げられた外壁の下部に、柿渋(かきしぶ)や黒漆を塗った板を重ねた「下見板」を張る仕上げ方です。下見板によって漆喰が守られるため、白漆喰総塗籠のような大修復は必要なくなります。

有名な城だと、豊臣秀吉が築いた大坂城(大阪府)の天守が下見板張です。この天守は現存していませんが、『大阪の陣図屏風』では黒い外壁の天守が確認できます。

ちなみに、使う塗料によって色の美しさに差があり、黒漆を塗るとカラスの濡羽のような艶やかな黒になります。しかし、黒漆は高級な上に色の劣化が早いため、維持費を捻出できる天下人や大大名の居城にしか使用されませんでした。

現存天守では松本城(長野県)が黒漆塗りで、天守では毎年漆の塗り替えが行われています。毎年の塗り直しとなると大変そうに聞こえますが、板を張り替える必要はないので工事期間は約2か月で済み、費用もさほどかからないそうです。

「白漆喰総塗籠」とは、天守の外壁を漆喰で塗り固めて仕上げたもので、全体的に白い外観となります。よく知られている城では、名古屋城(愛知県)や弘前城(青森県)などが白漆喰総塗籠です。耐火性に優れる上に美しい外壁は、慶長以降人気の外壁となりました。

しかし、漆喰は水分を素通ししてしまうため、定期的に塗り直さなければ内側の土壁が劣化してしまいます。2015年に姫路城(兵庫県)の大修理完了が話題になりましたが、この工事は約5年間の年月と約24億円の費用がかかっています。数十年に1度とはいえ、白漆喰総塗籠の維持には膨大な時間とコストがかかるのです。