
福岡県の大野城。『日本書紀』によると、古代山城のなかでは最も早い天智天皇4年(665)に築かれた。総延長約8kmの城壁で囲まれた巨大な城だ
(城びと)
石壁を辿る「石塁見学コース」
金田城の東側、東南角石塁を山頂ルートとは逆に下っていくルートは、城門をはじめ石塁を中心に散策するコースです。東南角石塁は平均して高さ4mの石塁が続いており、防衛機能を高めるための「張り出し」を構えています。石塁の内側には、掘立柱建物跡が2棟見つかっており、兵の詰め所か、見張り場だったのではないかと考えられています。
金田城の城戸(きど)は全部で三箇所。そのうち三ノ城戸では最も高い6.7mの石塁を見学することができます。二ノ城戸は、両側上半分の石材が崩落していたため、平成16年(2004)から修復作業が行われました。石敷床面は階段式に仕上げられていたようですが、現在見える部分は、下に降りて見学できるようにと近年石段が設置されたもので現存遺構ではありません。
そして、一ノ城戸は江戸時代(1800年頃)に修復された可能性があるようですが、その近くの石塁には水圧で崩落することを防ぐために「水門」が設けられていました。見事なほどの技術レベルの高さに、思わず大きく拍手をしてしまうほどです。
二ノ城戸を進むと城内で最も広い平場に出ます。ここでは複数の掘立柱建物跡が見つかっていることから、城の中枢だったのではないかと考えられています。建物跡のあたりは鞍部(あんぶ)となっており、弱点を補強するかのように土塁(「ビングシ土塁」という)も確認されました。土塁の間には門礎石が1つ見つかっていることから、門の存在もあったようです。
急傾斜の難所を乗り越えて「結合コース」
山頂コースと石塁見学コースを繋ぐ奥のルートが「結合コース」。けっこうな難所が待っています。城壁を横目に急斜面の道を下っていくため、足場の悪い箇所も多く迷いやすい……体力や山登りの経験がある人向けのコースです!
ちなみに、東南角石塁からスタートして山頂コース、結合コース、石塁見学コースを歩き金田城の城壁をぐるっと一周すると、所要時間は4〜5時間ほど。隅々まで金田城を見学したい方は丸1日巡る気持ちで訪れてください。