冷えと聞くと寒い冬のイメージがあるかもしれないが、冷えの原因は実は夏から始まっている。連日の暑さでアイスクリームやジュース、冷やし中華やそうめんなど、冷たい飲み物や食べ物がおいしく感じられ、ついたくさん摂ってしまったり、冷房をフル回転している方も多いのではないだろうか。身体が冷えていることに気付かないまま夏を過ごすことで冷えが蓄積され、やがて心身に不調が現れるという悪循環に陥りやすくなるという。そこで今回、東京有明医療大学教授・川嶋朗先生と順天堂大学医学部教授・小林弘幸先生に身体の冷えについて話を伺った。

冷えが身体にどんな悪影響を及ぼすのか

川嶋先生は、「冷えを放置すると身体に冷えが蓄積され、本来身体に備わっている体温調節機能が低下。季節の温度変化に適応できなくなり、慢性的に冷えを抱えやすくなります。身体が冷えると、血液の循環が悪くなり細胞に酸素や栄養素を届け、老廃物を回収する等の新陳代謝の力が低下。身体の熱を産生する働きにも悪影響を及ぼし、体温が下がることで免疫力が低下することが、基礎的な研究により明らかになっています。異物を排除する免疫細胞の力が衰えると病気と戦う力が弱くなり、生活習慣病などのさまざまな病気やメンタルの不調につながりやすくなるのです。体で最も冷やしてはいけない部分が内臓。腸には全身の約7割もの免疫細胞が集中していて、免疫力の観点からもお腹を冷やさないことはとても大切です。暑い季節もなるべく温かい食物や飲み物を摂るように心がけることが、食事による温活の第一条件と言えるでしょう。」と話す。

小林先生は、「自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2種類があり、心身が緊張しているときは交感神経が優位に、リラックスしているときや睡眠中などは副交感神経が優位に働き、それぞれバランスをとりながら身体を最適な状態に保っています。現代人は男女の別なく、ストレスを多く抱え、常に緊張に強いられ、自律神経の交感神経が優位に働いています。交感神経が優位になると、血管の緊張が増して収縮し、血液の流れが滞り、冷えを招きます。身体が冷えた状態が続くと、血流がさらに悪くなり、自律神経のバランスを崩す悪循環に陥りやすくなるのです。自律神経は、呼吸、心拍、血管、筋肉、内臓機能を調整する重要な神経であるため、冷えによって、そのバランスが崩れると、身体や心にさまざまな不調が現れやすくなります。」と話した。

このような夏冷えによる心身の不調や免疫力低下を一発逆転できる、カンタンで野菜も栄養もたっぷりの夏鍋レシピを、料理家の安井レイコさん・浜内千波さんが紹介。

安井レイコさんレシピ

「夏のスープカレー鍋」

夏といえばカレー。スパイシーな香りが、食欲を奮い出してくれます。

【材料】
純カレー粉 大さじ2/ケチャップ 大さじ2/コンソメ 2個/塩・黒コショウ 適量(味見をして足りない分)/しょうが 小さじ2/にんにく 小さじ2/水600ml/サラダオイル 大さじ2/えのき 1パック/鶏ささみ 200g/豚ロース薄切り 200g/サラダ菜(レタス) 200g/人参 100g/空芯菜 100g その他

【作り方】
1.サラダ油を鍋に入れて、しょうがとにんにく(チューブまたはすりおろし)を香りが出るまで炒め、純カレー粉も入れて、混ぜながら炒める
2.水とコンソメ、ケチャップを入れて、沸騰させる
3.食べやすく切ったささみ、豚肉、えのき、サラダ菜、空芯菜、ピーラーでおろした人参などを(2)に入れてさっと煮てできあがり

「冷しゃぶイタリアーノ(イタリアンソースで食べる冷しゃぶ)」

夏本番におすすめの冷やししゃぶしゃぶ。豚肉、レタス、きゅうり、トマトなど、お好みの具をトマト味のタレにつけて、爽やかな味わいに。シメは、スパゲッティやショートパスタを入れてスープパスタに。

【材料】
しゃぶしゃぶ用豚肉 200g/白ワイン・オリーブオイル 少々/にんにく 1片/コンソメ 1/2個/水 500ml
/レタス、きゅうり、トマト、レモンの薄切り、ベビーコーン、カイワレ大根など好みで
<トマトだれ>
カットトマト水煮(缶詰) 1/2缶(約220g)/にんにく 1片/玉ねぎ 10g/パセリ 1/2本(約3g)/オリーブ 4個/タカの爪 1/2〜1本/塩小さじ 1/4/こしょう 少々/レモン汁 小さじ1/2

【作り方】
1,鍋に水を入れて火にかけ、白ワイン、オリーブオイル、コンソメを入れて沸騰直前になったら、薄切りにしたにんにくと豚肉を1枚ずつ入れ、フタをしたら2〜3分で火を止めて冷ましておく。
2.トマトの水煮(缶詰)をつぶし、そこにすりおろしたにんにく、玉ねぎとパセリ、オリーブとタカの爪のみじん切りにしたもの、塩、こしょう、レモン汁を混ぜてたれを作る。
3.(1)の湯が冷めたところで、氷を入れて冷やし、好みの野菜を盛って、(2)のソースを添えたらできあがり。
4.具を食べ終わったところで、鍋を火にかけ、残ったトマトの水煮、スパゲッティ(もしくはショートパスタ)を入れてゆでると、スープパスタの〆のできあがり。粉チーズをたっぷりかけて。

浜内千波さんレシピ

「すっきりラタトュイユ鍋」

抗酸化作用のある食材を入れて、紫外線の気になる時期にぴったりな鍋。生姜は加熱することにより、体の芯から温めてくれる鍋に。

【材料】
パプリカ 200g/玉ねぎ 200g (3個で600g)/生姜 20g/フルーツトマト 150g/鶏むね肉 300g/塩 小さじ1強/ポン酢 大さじ4/玉ねぎ微塵切り 50g/オリーブオイル 大さじ1/ごはん 適量/粉チーズ 適量

【作り方】
1.パプリカ、ズッキーニ、玉ねぎは1cm幅の細切りにする
2.生姜は皮を削り薄切り、トマトは半分に切っておく
3.鶏肉は、1cmくらいの厚さに削ぎ切りする
4.全てを鍋に入れ、塩を入れてざっくりと混ぜ、水を注ぎ蓋をして火にかける
5.たれの材料を混ぜ、つけながらいただく

「スタミナしゃぶしゃぶ鍋」

抗酸化作用のある食材と、豚肉×ニラで疲労回復効果抜群な鍋。簡単な用意で、調理の手間もほとんどありません。味付けされた汁の中でしゃぶしゃぶすることで、豚肉からアクも美味しくいただけます。

【材料】
ニラ 100g/サニーレタス 1個/豆苗 1パック/豚ロース肉しゃぶしゃぶ 200g/醤油 大さじ2/塩 小さじ1/酒 大さじ2/水 600cc/中華麺 1束

【作り方】
1.ニラと豆苗は5cm幅に切り、サニーレタスは1枚ずつはがしておく
2.鍋に水、酒、塩、醤油を入れ溶かして一煮立ちさせる
3.野菜、豚肉をしゃぶしゃぶしながらいただく

鍋料理は主菜兼汁物のおかずにもなり、1品で野菜と肉をバランスよく食べることができる。また、不足しがちな野菜もたっぷり摂ることができ、夏が旬のキャベツやトマト、パプリカ、インゲン、ニラなどには抗酸化成分が豊富に含まれているため、強い紫外線を浴びた肌の紫外線ケアにも最適だ。

自宅はもちろん夏のキャンプなどアウトドアでも調理が簡単で、楽しく食べることができる鍋。冷えたお腹の中から温める夏鍋を取り入れて、夏冷えによる不調をリセットしてみてはいかがだろうか。