血管系の大病が隠れていることも
頭痛が起きると仕事や家事が手につかなくなるため鎮痛剤で凌ぎがちですが、じつは血管系の大病が隠れていることもあり、命の危険に晒されるリスクにも目を向けるべき症状です。それだけに症状を安易に考えるべきではありませんが、まずは以下に記した筋肉のこわばりによって起きる3つの頭痛に該当するかだけでも、ご確認頂ければと思います。

① 歯の食いしばりで頭の筋肉がこわばったままに
こめかみまわりなど、側頭部を中心に起きる慢性的な頭痛で、眉間にシワが寄ったり鎮痛剤が手放せなくなったりする人は少なくありません。痛みで集中力が削がれ、仕事や家事がはかどらないことも多々あり、本人は「時間管理が下手」とおっしゃるものの、実際は頭痛のせいで作業効率が落ちてしまっています。頭痛だけでなく肩こりも併発し、吐き気や気持ち悪さを感じることも。
側頭部、首、肩、腕の筋肉と神経のつながりから、必要以上に手が力んでしまいがちになります。硬いものをかむと、あごが疲れやすいのも特徴です。
原因は、上下の歯のあいだにすき間がなくなったことにあります。いつも歯が接触している、あるいは食いしばりやかみしめがあると、こめかみにある側頭筋が過剰に働いてガチガチに硬くなり、側頭部を締めつけて痛みが生じるのです。普段から緊張しやすい、あるいはずっと下を向いて作業をしているなど、同じ姿勢を長時間続けると引き起こされることが多い症状です。
ときどき口を大きく開けて緊張をリセットしてみたり、上下の歯が接触しないよう、少しすき間を開けておいたりするのがポイント。それを忘れないように、デスクワーク時なら、パソコンのモニターなどよく目につく場所に「歯をかみしめない」と書いたメモを貼るのもいいでしょう。
〝孫悟空の輪〟のように頭が締めつけられ…
②目の疲れや首こりから後頭部が痛むように
頭痛のなかでも特に後頭部が痛む場合は、目の疲れや首のこりが関係している可能性が高いでしょう。同じ距離や近距離でパソコンのモニターやスマホの画面を見続けたり、まばたきが少なかったりすると、後頭部に痛みが生じやすくなります。また、頭を動かすと響くような痛みを感じることも。この頭痛のせいでイライラしやすくなる人もかなり多くいらっしゃいました。
ほかにも、視力の低下や目のかすみ、近くから遠くを見るとピントが合わない、といった目の不調を抱える人が多く、首こりが続くことで頭が痛くなる人も少なくありません。
物を見るときは、頭を支えて前後に動かす後頭下筋群や板状筋が酷使されます。後頭下筋群と板状筋は、後頭部と首の境目にあるので、過剰に働いてこり固まると後頭部に痛みが生じるのです。寝転ぶと痛みがやわらぐ理由は、頭の重みから解放されるため。東洋医学でも、後頭部と首の境目に脳の視覚野をつかさどる目のツボがあり、目と後頭部は深い関係があるとされています。
日常生活では、パソコンのモニターなど、普段よく見る対象物を顔の真正面に据えると、頭を支えてその位置をコントロールする後頭下筋群や板状筋を休ませることができるでしょう。

③頭を覆う帽状腱膜の緊張が原因
眉の上、前頭部から後頭部にかけて痛みが生じる頭痛です。髪を束ねたときに頭皮が引っぱられると痛んだり、頭皮の表面にチクチクと痛む感覚があったりします。このタイプの頭痛は鎮痛剤を飲んでも改善しにくいのが特徴です。
頭皮がガチガチに硬いので、つまんだり動かそうとしたりしても、ほぼ動きません。頭皮が硬いと血行も悪くなっているため、抜け毛や薄毛も生じやすくなります。さらに、顔全体がたるんだり毛穴が目立ったり、おでこに横ジワがあらわれたりするのです。
こうした症状は、眉の上から後頭部を覆う帽状腱膜が過剰に緊張して硬くなっていると起きます。帽状腱膜がこわばると〝孫悟空の輪〟のような要領で頭が締めつけられ、痛みが生じることに。
このタイプの頭痛がある人は、背中が丸くなり左右の肩甲骨が外側に広がっているので、筋肉や筋膜、皮膚が密接につながっている顔や頭が下方向に引っぱられ、帽状腱膜の緊張やこわばり、頭皮の血行不良が起きます。
頭皮を柔軟に保つには、ときどき髪の分け目を変えたり、頭皮をこまめに押したりすることも大切です。毎日数回、胸や肩を開き背すじをのばして、左右の肩甲骨を背骨に寄せる姿勢をするのもいいでしょう。
文/今村匡子
大丈夫なふりして生きてる人の体に効く こわばり筋ほぐし
今村 匡子
¥1,540
127ページ
ISBN: 978-4763140753
病院に行っても薬を飲んでも消えない
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