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週1夜断食だからこそ、ラクして効果を上げられる
週1夜断食の前身となる『月曜断食』を上梓したのが2018年。鍼灸の専門知識と僕の師匠から中医学に基づいた断食の効用を学び、それを一般の方でも安全に取り組みやすくしたものが月曜断食でした。
当時に比べると断食への理解も深まってきたように思えますし、同時に、エビデンスも揃ってきました。
ありがたいことに、月曜断食に取り組んだことで本来の自分らしさを取り戻し、その後も月曜断食のサポーターのように応援してくれる方もいて、その方たちにも協力していただいたりしながら、実際、どのような形が体にも心にも負担がいちばん少ないのか、やり方を変えると効果の差がどれくらい変わってくるのかなど、常に探求し続けてアップデートをしてきました。
ですから、週1夜断食はその集大成であり最新版です。
週1夜断食は月曜日の夜だけ断食をするのに対し、月曜断食は丸1日断食をし、水だけ飲んで過ごします。
頑張った分のリターンは得られるのですが、空腹に耐えるのがつらいという声や頭痛やめまいといった不調に見舞われるケースも少なからずあります(これらの不調は想定内で体が内側から変わっていく過程に起こるもので心配はありません)。

「丸1日何にも食べないなんて自分には無理!」
そういって最初から受け入れてもらえない方もたくさんいらっしゃいます。その気持ちもわかります。でも、将来を考えたときに今の体のままでいいわけがないという悩みも同時に抱えている方には、ぜひ、もう少し気楽に断食を試してみてほしいと考えていました。
そこで、断食の時間を検討し、月曜の夜だけ断食をするという最新版の週1夜断食が生まれました。
もともと断食をすると、空腹時間が続くことで古くなった細胞を分解し、再利用してくれる“オートファジー”が活性化しますが、最新の研究結果では丸1日断食しなくても空腹時間が12時間以上続けばそのスイッチが入るということがわかってきています。
実際にたくさんの方に断食を試みていただいた結果、夜だけ断食する方が心理的負担や身体的不調を抱えることなく取り組めるのではないかと考えたのです。
週1夜断食でオートファジーを活性化
週1夜断食では、週1回夕食を食べずに、空腹時間が16時間以上になるようなスケジュールを提案しています。
なぜ、16時間なのかというと、空腹時間が12時間を超えるとオートファジーのスイッチが入り、さらに16時間を超えるとその働きがより活性化することがわかっているからです。
人間の体は37兆個の細胞によって構成されています。その細胞はたんぱく質でできていて、日々の代謝活動によって、死滅・生まれ変わりを繰り返しています。
劣化した細胞は、細胞内に古いたんぱく質を溜めていき、細胞内でエラーを起こして不調を感じさせたりするのですが、オートファジーは、その細胞内に溜まった古いたんぱく質を食べ、新たな分解酵素とくっついて古い細胞を新しい細胞に生まれ変わらせてくれるのです。
家を壊して新築を建てるのではなく、家の中を解体し、リフォームするイメージをするとわかりやすいのではないでしょうか。
断食をして16時間以上空腹時間を作ることで、このオートファジーの活動が活性化され、体内の古くなった細胞をみるみる生まれ変わらせてくれるのです。

食後10時間で脂肪燃焼スイッチがオンに
「あぁ、痩せたいなぁ」「痩せなくちゃ」
そう思うとき、多くは体重を指しているのだと思います。でも、頭の中でイメージする自分は、たぷたぷの贅肉が削ぎ落とされたスッキリとした姿ではありませんか?
その自分に近づくために、そして健康のためにも重要なのが、体脂肪を落とすことなのです。
しかし、多くの人がわかりやすい指針として、体重を目安にしてしまいます。週1夜断食では、取り組み始めてからなるべく早い段階で、体脂肪も測れる体重計(体脂肪計・体組成計)の購入を強くおすすめします。
というのも、体に対して悪さをするのは蓄積された脂肪だからです。
よく知られているように、脂肪には内臓脂肪と皮下脂肪の2種類があります。
内臓脂肪は、その名の通り胃や腸などの内臓のまわりを中心としてつく脂肪で、お腹がぽっこりと出るのが特徴です。りんご型肥満と呼ばれることもあります。
皮下脂肪も文字通り、皮膚の下の皮下組織に蓄積する脂肪のことで、二の腕、お腹、腰回り、背中、太ももの裏など日頃あまり動かさない場所につくことが多いのが特徴です。下半身に脂肪がつきやすいことから洋梨型肥満とも呼ばれます。
内臓脂肪と皮下脂肪で、健康に大きな影響を与えてしまうのは前者です。増えすぎた内臓脂肪からは悪玉アディポサイトカインと呼ばれるホルモンが分泌され、これが、高血圧、高血糖、脂質異常などを招く引き金になってしまうのです。
適度な脂肪からは、中性脂肪を燃焼したり、血圧や血糖をいい状態に保つようにコントロールする善玉ホルモンのアディポネクチンが分泌されます。ですから、脂肪がまったくない状態が健康というわけではありません。
しかし、内臓脂肪が過剰になると、善玉のアディポネクチンの分泌は抑制され、悪玉アディポサイトカインの働きが優勢になってしまうのです。
脂肪細胞は無限の貯蔵庫、200㎏や300㎏まで太れる
「男性はともかく、女性は皮下脂肪がつく洋梨肥満型が多いでしょ。だから関係ないんじゃない?」
実は、そうとは言い切れません。
内臓脂肪を蓄えるりんご型肥満には男性が多いと言われていますが、女性も50代以降は内臓脂肪型肥満が増えてくるので油断は禁物なのです。もともと女性は皮下脂肪がつきやすいのですが、閉経後にエストロゲンの分泌が減ることにより内臓脂肪がつきやすくなり、生活習慣病のリスクも高まります。
「そもそも脂肪はどのようにして体の中に蓄積されていくの?」
確かに、それを知っている人は多くないかもしれません。まずは、脂肪が蓄えられる順番と脂肪が使われる順番を覚えておくといいでしょう。
食事から摂った栄養は体内でエネルギーとして利用されます。しかし、糖質などを必要以上に摂取した場合はそのエネルギーを使い切ることができず、予備のエネルギー源として筋肉や肝臓にグリコーゲンという形で保管されます。
ただし、筋肉や肝臓は保管できる量に限りがあり、ここでも余った分のエネルギーが脂肪細胞へとまわされます。
脂肪細胞はとても柔軟性があり、元の大きさの何倍にも膨れ上がることができる無限の貯蔵庫。大量に食べて動かない生活をしていたら、200㎏や300㎏まで太れるのも脂肪細胞がエネルギーを受け入れてくれるからなのです。

痩せて健康になりたい。その願いを叶えるためには、内臓脂肪を落とさなければなりません。
蓄えた脂肪をさっさとエネルギーとして消費できればいいのですが、エネルギー源となる血液中の糖が不足すると、まずは、筋肉や肝臓に蓄えたグリコーゲンからエネルギーを作ります。脂肪が使われるのはその後。グリコーゲンが枯渇してからようやく脂肪がエネルギーとして使われるのです。
脂肪がエネルギーとして使われることを「脂質代謝」と呼びますが、このスイッチがオンになるのは、食後10時間ほど経ってグリコーゲンがなくなってから。
週1夜断食では、週1回の夜断食を基本として、空腹の時間が16時間以上になることを推奨しています。
その理由がまさに脂質代謝で、空腹時間が12時間以上になると脂肪の分解がさらに促進され、16時間以上になると細胞の生まれ変わりを促進するオートファジーが最大限に働くようになります。これらの効果によって、効率よく脂肪をエネルギーとして消費できるようになり、内臓脂肪を落としていくことができます。
「週1回で効果があるの?」
という質問をよくいただきますが、実際に患者さんにも試していただいて、心身にいちばん負担なく効果を得られるのがこの週1回の夜断食でした。
週1回、16時間の空腹時間を持つことで胃腸を休ませてその働きを活性化し、脂肪を蓄えてばかりいた体に脂質代謝のスイッチをオンにするという強いメッセージを送ります。
そして、味覚にも変化が起こることで、翌日以降の食事内容が変わっていきます。これらが総合的に作用して、心身に負担なく、体を内側からととのえていくことができるのです。
文/関口賢 写真/shutterstock
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関口 賢
¥1,650
192ページ
ISBN: 978-4537221329
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若い頃は痩せていたのに、年齢を重ねるにつれて太ってきたり、健康診断の数値が悪くなっていく人は多くいます。
本来食べることは人間が生きる上で欠かせないことですが、現代人では逆に体に必要以上の栄養を取り込んでしまって、
食べることが逆に不健康を招いてしまっているケースが多く見られます。
そのままの生活を続けてしまうと、内臓脂肪によるぽっこりおなかだけでなくやがて生活習慣病となり、
最終的には寝たきりになってしまったり、取り返しのつかない病へ発展することも。
本書では、そんな体型や数値が気になる人に向けて、10万人以上のダイエットに貢献してきたダイエット専門鍼灸院代表の著者による、
内臓脂肪を落として、誰でも簡単に痩せて健康になれる『週1ずぼら夜断食』を紹介します。
お金も時間もかからず、週1回夜に断食をするだけなのに圧倒的なダイエット効果があり、
さらに驚くほど体調もよくなって、健康診断の数値もみるみる改善していきます。
さらに痩せた後にも、食べ過ぎによって大きくなった胃が元の大きさに戻ることで食事量を勝手に正常化できたり、
濃い味付けでないと満足できない味覚が正常に戻るなど、特に努力しなくてもその後もしっかり体型や体調をキープできるのも魅力です。
多少食べすぎたり飲み過ぎたりして、体重や体調、数値などに波があるのは誰でもよくあることです。
だからこそ、自分の健康は自分の管理下に置き、薬無しでもいつでもベストな状態を取り戻せるようになっておくことが重要です。
人生100年時代をいつまでも元気にいるためにも“一生太らない生活”を始めてみませんか。