知るほどに“お得感”があるiPhone 15シリーズ

2023年モデルのiPhoneのラインナップについては、ウワサも含めて事前にさまざまな報道がありました。
しかしフタを開けてみると、本体サイズとナンバリングは2022年モデルと同じで、6.1インチの“無印”なスタンダードモデル「iPhone 15」、6.7インチの「iPhone 15 Plus」、上位モデルの6.1インチ「iPhone 15 Pro」、そして6.7インチのフラグシップモデル「iPhone 15 Pro Max」でした。
発売時の価格は、米国では「据え置き」となりました。現在の外国為替は対米ドルで円安の状況が続いていますが、iPhone 14シリーズ発表時の価格に比べると、iPhone 15シリーズは5000円高く販売されます。
同じようにiPhone 15 ProシリーズとiPhone 14 Proシリーズ発表時の価格を比べてみると、それぞれ10,000円ほど値上がりしていることがわかります。

しかしカメラ機能が充実したことや、iPhone 15 Proシリーズで本体の金属素材が変更されたことを考えれば、今年のiPhoneは想定よりもリーズナブルな価格感を打ち出せた、ともいえそうです。
▽iPhone 15/Proシリーズの日本価格一覧(すべて税込)
●iPhone 15
128GBモデル:12万4800円
256GBモデル:13万9800円
512GBモデル:16万9800円
●iPhone 15 Plus
128GBモデル:13万9800円
256GBモデル:15万4800円
512GBモデル:18万4800円
●iPhone 15 Pro
128GBモデル:15万9800円
256GBモデル:17万4800円
512GBモデル:20万4800円
1TBモデル:23万4800円
●iPhone 15 Pro Max
256GBモデル:18万9800円
512GBモデル:21万9800円
1TBモデル:24万9800円
チタニウムの特性を活かした軽く強靱なProのボディ
iPhone 15 Proシリーズは外装ケースの素材として、宇宙船にも使われている「グレード5」のチタニウムを採用。強度重量比がもっとも高い金属として、内部構造もスリム化を遂げたことから、一気に大幅な軽量化を実現しました。
iPhone 14 Proシリーズと比べると、6.1インチのiPhone 15 Proと6.7インチのiPhone 15 Pro Maxは、ともに19gの軽量化に成功。実機を手に持ってみると、明らかに軽くなったことがわかります。

また強度重量比が高いチタニウムを使うことで、フレームを薄くしながら、ディスプレイ周囲のベゼル(額縁)は狭くなり画面占有比を高めています。
そしてボディのエッジ部分には緩やかな曲線がつけられており、グリップ感もiPhone 14 Proシリーズとは少々異なる印象です。iPhone 14 Proシリーズのようにエッジがシャープなほうが持ちやすいというユーザーもいると思うので、ここは好みが分かれるところかもしれません。
なお、カラーバリエーションはチタン金属の本来の色を活かしたブラックチタニウムのほか、ホワイトチタニウム、ブルーチタニウム、ナチュラルチタニウムの全4色をラインナップしています。



そして特に注目なのが、パワフルな進化を遂げたカメラ機能です。
中でもiPhone 15 Pro Maxは、iPhoneとしてはじめて焦点距離120mmの5倍光学ズームを搭載しています(iPhone 15 Proは、従来同様に光学3倍ズームに対応)。
レンズユニットから取り込まれた光を「テトラプリズム」という極小サイズの光学部品の中で反射させることで、まるで大きな望遠レンズのような長い焦点距離を活かした撮影が可能になります。
大きな「Max」モデルにハイパフォーマンスなカメラが搭載されるのは、iPhone 12 Proシリーズ以来。そのため「カメラにこだわりたい」と思う人は、迷わずiPhone 15 Pro Maxを選ぶべきでしょう。

そしてiPhone 15 Proシリーズには、最先端の3nm(ナノメートル)の微細なプロセスルールで製造される「A17 Pro」チップが新しく搭載されました。
CPUが高速化されただけでなく、GPUをパフォーマンスとエネルギー効率を高める「6コア設計」にしたことで、複雑なグラフィックス処理を速く正確にこなします。
これは特にゲームやARコンテンツでメリットを感じる部分ですが、今回のハンズオンではゆっくりと試す機会がなかったので、また実機に触れたときに報告したいと思います。

「性能はPro並み」なスタンダードモデル
iPhone 15シリーズは、iPhone 14 Proと同じ「A16 Bionic」チップを搭載する高機能なスタンダードモデルとして位置付けられます。

アルミニウム素材を採用した筐体は、側面フレームのエッジに緩やかな曲線を持たせて、エレガントな印象に。
重量に関しては、iPhone 14が172gに対し、iPhone 15が171g。Plusモデルに関してはiPhone 14 Plusが203gに対し、iPhone 15 Plusが201gと、ほんのわずかですが軽量化されています。

カラーバリエーションはブラック、ブルー、グリーン、イエロー、ピンクの5色展開で、ブラック以外は淡いパステルカラーになりました。
背面ガラスには、塗料を練り込んだカラーインフューズドガラスを採用。表面をマットに仕上げているので、手触りはサラッとしていました。


ディスプレイには、iPhone 14 Proシリーズで初登場となった情報表示のインターフェース「Dynamic Island」を搭載。ピーク時の画面輝度は、iPhone 14シリーズと比較して400ニト上がり、1,600ニト(HDR時)に向上しています。
加えて、iPhone 15シリーズは明るい場所で2,000ニトまで輝度をブーストする機能も搭載。明るい屋外での画面視認性がアップしました。

背面のデュアルカメラシステムは、2つのレンズで3つの画角による撮影に対応しました。メイン側のセンサーは48MPの超高解像度で、標準「カメラ」アプリで「2倍望遠オプション」が選べるようになっています。
このオプションでは、高画素センサーの中央部分を切り出して2倍ズームに相当する画像を保存してくれます。iPhone 14シリーズでは1倍以上はデジタルズームになってしまったので、iPhone 15シリーズでは写真・動画表現の幅がさらに広がるでしょう。
Lightning廃止で、USB-Cを初搭載
そしてiPhone 15/Proシリーズでは、ついにコネクタにUSB-Cが採用されました。
USB-Cを搭載したMacやiPadと接続ケーブルを共通化できる一方、注意が必要なのは、iPhone 15シリーズとiPhone 15 ProシリーズでUSBの仕様が異なることです。
iPhone 15 ProシリーズはUSB 3.0対応で、iPhone 15シリーズはUSB 2.0に対応。これにより、主にデータ転送速度の面で違いが出てきます(USB 3.0は最大5Gbps、USB 2.0は最大480Mbps)。
iPhoneで撮影した高精細な動画や写真をMacにバックアップしたり、動画編集などの作業に使ったりするのであれば、やはりiPhone 15 Proシリーズを選ぶべきだと思います。

筆者的には、今回発表された2023年モデルの中では、価格と機能のバランスがよいiPhone 15か、カメラ機能が大きくアップデートされたフラグシップのiPhone 15 Pro Maxが狙い目だと感じました。
iPhone 15/Proシリーズの予約開始は9月15日(金)から、店頭などでの発売は9月22日(金)からです。
Appleのイノベーションが詰まった最新のスマートフォンを、ぜひ実機で確かめてみてください。
文・写真/山本敦