1月8日に行われた、令和5年北九州市二十歳の記念式典。今年もド派手な新成人たちが集結したメディアドームの様子を写真と共に振り返る。

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式典前から人出はたくさん…とはいえ立ち上がりは静か


この日、1月8日は北九州は雲一つない晴天で、会場となったメディアドームは、朝早くから賑わいをみせていた。式典の開始は11時半だが、朝10時頃には、早くもド派手な衣装に身を包んだ新成人たちが集まり出した。



太鼓や旭日旗など、背中の装飾品までド派手な衣装に身を包んだ一団。話しかけると気さくに取材に応じてくれた。



「カッコよく撮ってくれんならいいすよー!」(20歳・建築)

こちらも早い時間から会場まで待ち合わせていた面々。七色のリーゼントは地毛だそう。



「中学校の友達と来ました。普段小倉城で働いている人力車を雇ってきました(笑)。」(20歳・大学生)

会場内には入れないものの、入り口まで人力車を雇って来場。袴をレンタルするよりは安いらしいが…。気になるお値段は教えてもらえなかった。



花魁姿の中央の女性と、豹柄の集団は別グループ。同じ中学・高校などの共通点がなくとも、会場で出会った初めまして同士が写真を撮っている光景があちこちで見受けられた。

「写真? いいよ。ちょっと待って旗広げるけさ!」(20歳・建築)



「中学も高校も、仕事も違うけど仲良しです」。(左:20歳・大学生 右:20歳・工場勤務)まだまだあどけない笑顔が可愛らしい二人組。




ド派手な集団はあちこちにいるが、会場前で大騒ぎをするような人々はいない。会場前に押し寄せた取材陣たちから、落ち着いて取材を受けていた。

実際に式典が行われるエリアはテントで仕切られた先にあり、お酒等は持ち込むことはできないというのも会場前の落ち着きに一役を買っていたのかもしれない。警備員さんに話を聞いたところ「例年より落ち着いてます」とのことだった。
このまま静かに式が終わるかと思っていたが…。


大合唱で騒ぎ始める


予定通り11時半から式典が始まり、正午で終了。式典が終わると、入り口を仕切っていたテントもクローズ。するとそこここらで盛り上がる集団が出てき始めた。



「こっくら! こっくら! 八幡の奴らはかかってこいやー!」(20歳・建築)



板櫃や門司など、小倉北区地区の中学校同士で集まり騒ぐ一団。スピーカーからは、重低音が流れ、一際目立っていた。彼らが騒ぎ始めると、取材陣やカメラを持った人たちも集まり、人だかりが出来てくる。正直これを求めていた…!というギャラリーたちも多かったように見受けられた。



「撮っていいすよー! 20歳になったので、初めて飲んでます」(20歳・建築)

拡声器からずっとサイレンが鳴り続けていた七色の青年。彼の衣装費はなんと全額で70万円だとか。その甲斐あってか彼も多くの人に写真を撮られていた。




こちらもRKB(福岡毎日放送)や、フジテレビ、そしてYouTuberらしき人などから、次から次に取材に追われていた猛者。頭の上にはあのキャラクターが鎮座!

「テーマはなずなワールドです! もう疲れたけ写真だけでいいですか(笑)? でもかわいく撮ってくださーい!」(20歳・職業不詳)



なかなか怖そうな一団だが、見た目に反して、すごく優しい彼ら。散り散りになっていた仲間をわざわざ集めて、快く撮影に応じてくれた。

「タバコ吸ったままでいいっすよね?(笑)」(20歳・建築)



「集英社? 俺ら毎週ジャンプ買いようよ!」 (20歳・建築)

旗を揺らし、陽気に取材に答えてくれた二人。ONE PIECEが大好きとのこと。





「お世話になった人に」とお花を渡し合うグループや、大きな幟を地面に敷き、集合写真を撮る人々も。



祭りの後の少し寂しいような、爽やかな雰囲気の中、最後に北九州の名門校、小倉高校出身の落ち着いた4人に話を聞くことができた。自分達の地域のド派手な成人式について尋ねてみると、



「僕らは親のお金で大学に行かせてもらい、スーツも購入してもらっています。でも袴を着ている人たちはもう働いていて、自分でお金を出していると聞きます。だから同い年なのにすごいなっていうリスペクトの気持ちが大きいですね」(20歳・大学生)



9時半に開場してから3時間半後の13時、会場となったメディアドーム前から警備員たちが式典参加者を場外に出し始める。楽しかった記念のひとときももう終わりだ。

ド派手な衣装に身を包んだ彼らは確かに少し迫力がある。だが話しかけてみると、皆優しく気さくで、素晴らしい笑顔を見せてくれた。

彼らの未来に幸多きことを願う。


撮影/篠原祐介