#2 5000万円でAVオファー、鬼のように届くパパ活の誘い、会社員時代には激務で失禁
#3 150人からのチン凸、夜のお風呂でバイト、おとんの遺言と借金…苦しみながらも配信再開
人生で一番病んで、一番傷ついた1年間
――インタビューを受けていただきありがとうございます。炎上騒動から約1年後となる今年1月20日での「Twitch」配信を機に活動を再開されました。再開には怖さがあったのではないですか。
怖かったです。けど、吹っ切れてましたね。炎上から1年、もう人生で一番病んで、一番傷ついた。これ以上ひどいことはないなと思っていて。最初の配信はもう吹っ切れて、胸の谷間を出してましたね(笑)。
初回の配信は同接(最大同時接続数)が8000ぐらいでした。もともと3000くらい来たら御の字と言われていたので、想像したよりも多かったです。今はライブで大体1000〜2000人くらい。時間帯で変わりますけど、今も1000を割ることはないです。

――活動再開後はYouTubeに切り抜き動画も頻繁に上がってますね。さらに配信を見たWEBメディアがコタツ記事を書き、それがYahoo!ニュースに大量に配信されています。
切り抜き動画の数はすごいですね。通報してけっこう消してもらいました。Yahoo!ニュースは無料で取り上げてくれるから宣伝になって嬉しいです。
――たぬかなさんは2022年、ミルダムのライブ配信で身長170センチ未満の男性に対して「人権がない」と発言したことでネット上で炎上しました。当時はYahoo!ニュースにもたぬかなさんに批判的な記事が載り、さらに炎上が広がりました。そうした部分で恨みとかはないんですか。
最初は「Yahoo!ニュースもこんなしょうもないこと取り上げやがって。もっと世の中に伝えなきゃいけないヤバいニュースを取り上げろよ」と思ってたんですけど、今となってはもう逆にありがたい感じです。インフルエンサーの滝沢ガレソさんにも燃やされたけど、その後もTwitterで何回も取り上げてくれたので、お礼しかない。
ただYahoo!ニュースの記事はいつも私のブスな写真を使ってくるので、そこはちょっと気に食わないです。そのくせして見出しに「美人ゲーマー」とか書くのはやめてほしい。コメント欄で「いやブスじゃん」って書かせたいのはわかるけど。
炎上発言はウーバー配達員からのナンパがきっかけ
――たしかに(笑)。振り返るのはつらいと思うのですが、改めて炎上した当日の配信について教えてください。
忘れもしないバレンタインの日でした。クッキーを作りながら、配信していたんですが、見ているのはいつもいる30人くらい。配信では視聴者にサービスの意味を込めて、毒舌でやらしてもらってて、その日もいつものように「背がちっちゃいのは無理、嫌い」みたいなノリで「人権ないやろ」って言ったんです。その配信をちょっと悪意のある切り抜き方をした動画が、ネット上で拡散されたのが発端ですね。

――動画は「人権ない」の部分だけが切り抜かれていましたが、実は話の前段があったんですよね。
はい。大阪で一人暮らしをしている時、ウーバーイーツで配達を頼んだら若い男の子が宅配に来たんですが、食事を受け取った後にもう1回インターホンが鳴って「なんだろう」と思って出たら、その子が「なんかすごいタイプだったんで、よかったら、連絡先交換してくれませんか」と言ってきて、気持ち悪かったという話をしてました。
その子の身長が低かったので「やっぱ、チビ嫌いやわ。人権ないよ、ほんまに」と言ったんです。その部分が切り抜かれて、拡散されました。
――配信当日、見ていた30人はたぬかなさんの言葉に怒っている雰囲気でしたか。
いつも通りですね。「お前はやっぱり180センチ以上が好きやもんな」みたいな感じのコメントがあったり、のんびりした雰囲気でした。「人権」といっても本当の意味での「人権」ではなく、“好みのタイプ”って意味合いで使ってたんですけど。まあ、炎上させたい人はどこにでもいらっしゃるので。

――たぬかなさん自身が発言が炎上していることに気づいたのはいつ頃だったんですか。
配信してから1日後くらいでした。SNSにいっぱいDMが来ていて、メッセージを開くと「ブス、死ね」「お前みたいなブスに人権はない」とか書かれていて。でも、プロゲーマーをやっていた際にも誹謗中傷は多かったので「騒いでいる人もおるけど、こんなんで大事にならんやろ」くらいの気持ちでした。
言ってないことまで言ったことにされる炎上の恐怖
――結局所属していたチーム、さらにスポンサーだったレッドブルとの契約を解除されますが、そのころにはネットだけじゃなくWEBメディアや、テレビもたぬかなさんについて報じられるようになりましたし、著名人も騒動についてSNSなどでコメントしていました。
何気なくテレビを見ていたら、私の顔がバーンと出て「プロゲーマーが謝罪」と出ていて。人殺してるレベルの報道のされ方だったから「いや、どないしたん!」となりました。あとは、私の捏造記事がネット上ですごく出回っているんです。「黒人差別をした」とか、 昔、倖田來未さんが言っていた「羊水腐ってる」発言も、私が言ったことにされていたり。
私を取り上げたら盛り上がるんで、メディアも著名人もネットもみんなめちゃくちゃネタにして叩いて楽しんでいたと思います。もうどんだけたくさんの人を気持ちよくさせてしまったんですかね。ポリコレ棒で叩いてくる人への社会福祉でしたね。

――誹謗中傷だけでなく、殺害予告もあったそうですね。
めちゃくちゃありました。「お前殺す」みたいな。それは1年たった今もけっこうありますね。Twitterのリプライで「街でお前の顔を見つけたら、顔を潰そうと思ってるからよろしく」とか。
私はもともとオフラインイベントが好きなんですけど、今は怖くてできないですね。私にそこまで恨みを持ってなくても、「目立ちたいから刺しに来る」みたいな人ってやっぱりいると思うので。
――炎上した時のご家族の反応はどうだったんですか。
おかんはすごい心配してました。「あんた自殺とか絶対せんといてよ」って。おとんは怒ってましたね。「しょうもないこと言ってくる、そんな奴らに負けるな」って。 おとんの友達はテレビで私を見て「娘さん、めっちゃ有名やな」って言ってたらしいです(笑)。
炎上騒動で唯一泣いたこと
――炎上した後、東京を離れて実家に戻ろうとは考えなかったんですか。
実家に帰りたくなかったんですよ。おとんやおかんに優しくされるのが嫌だった。当時ずっと強がってたんですよ。「全然いけるし、こんなん。逆に炎上して、フォロワーもめっちゃ増えてお得やし、配信再開したら絶対人気出るから」って。ただ実際は相当傷ついてたから、おとんやおかんに顔を見られたくなかったんですよね。強がりキャラなんで、ずっと。

――その時に彼氏とかはいなかったんですか。
いました。支えてはくれてましたけどね。今は色々あって、お別れしました。
――炎上した後、救いになったことはありましたか。
すごく仲良かった友達が炎上した後に電話をかけてきて、出たらめっちゃ泣いてるんですよ。「ネットでたぬかなのことを何も知らん人がこんなん書いて、ほんまにムカつく。自殺とかしたらどうするんよ」って。それを聞いて初めて泣きました。炎上で泣いたのはそれが最初で最後です。
私、強がりやし見栄っ張りなんで普段泣いたりしないんですよ。本当は小心者のくせに強いふりしちゃうし、偉そうなこと言うけどいつもビクビクしてる。
炎上の後も強がって気づかないようにしてたけど、やっぱりあの時はつらくて、友達の電話で私もずっと泣きたかったんやなというのがわかった。あの時の言葉が一番心にしみましたね。
たぬかなのドキッとするオフショット









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取材・文/徳重龍徳 撮影/石垣星児