6月1日に誕生日を迎え、19歳になった本田望結さん。3歳での子役デビューから、俳優とフィギュアスケートを両立させてきた彼女は、これまでどのような道を歩んできたのか。

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幼少期からカメラの前でスイッチが切り替わる


――6月1日で19歳の本田さんに今回は、幼少期から現在に至るまでの半生についてお聞きしていきます。幼少期の写真がこちらにありますが、それぞれ思い出はありますか?



本田望結(以下、同) ソファに座っているのは1歳の頃の写真ですね。ソファで撮った写真はほかにもたくさんあるんです。兄の学校のノートを読んでいる写真も残っているんですけど、全部(ノートが)逆さまなんですよ(笑)。



5歳の写真は、しっかりメイクをしているから、フィギュアスケートの試合の日に撮ったんだと思います。この白い衣装は、たぶん「白鳥の湖」かな。



9歳のときにはすでにお芝居をやっていたので、これは撮影現場での写真ですね。幼い頃から写真を撮るのも撮られるのも好きで、撮影の合間に「写真撮って」って母に言って、思い出を残していた記憶があります。

――幼少期はどんな子どもでしたか?

幼い頃はわりと人見知りでした。3歳で子役やキッズモデルを始めたばかりの頃は、母の手をずっと握りしめて、後ろに隠れていたんです。マネージャーさんにも「おはようございます」「お疲れさまでした」「ありがとうございました」を話せたら上出来という感じでした。

でも、その頃から、カメラが回ると急に泣き止んだり、恥ずかしがりモードがなくなったりして。「カメラの前だとスイッチが切り替わる」と周りの皆さんから言っていただくのと同時に、自分自身もそうだと感じていた気がします。


お芝居の世界は決して勝ち負けじゃない


――小学生時代はどんな子どもでしたか?

小学生の頃は、テレビの世界にいる自分と、友だちといるときの自分が違いました。誤解を招くかもしれないけど、友だちといるときはスイッチがオフで、「しっかりしなきゃ」みたいな気持ちもお仕事のときほどなかったので、学校にいるときは素の自分だったと思います。

でも、そういう私に対して「望結ちゃん、なんか想像と違う」っていうふうに感じずに、私に合わせて話しかけてくれる友だちがまわりにいてくれました。

いまはそういうオンオフがなくて、仕事の現場でカメラが回っていても、プライベートでも、常にずっと同じ感じです。



――いまは「しっかりしなきゃ」という感覚が自然に染みついている?

役者さんって、“自分じゃない人”になれるわけじゃないですか。それが難しかったり楽しかったりするから、いまも役者を続けているんです。幼い頃からオーディションをたくさん受けて、フィギュアスケートもそうですけど、勝ち負けの世界に常にいて。

でも、(オーディションに)さんざん落ちてきた私から言えるのは、やっぱりその人に“合う役”と“合わない役”があるし、「この役だったら私にしかできない」とか、「この役だったら〇〇さんのほうがしっくりくる」という部分を見極めるためのオーディションだと思います。

お芝居の世界は決して勝ち負けじゃないということに気づいて。それからは、素の自分で現場に入れるようなりました。


“運命”で“必然”の出会い


――かなり達観した意見だと感じますが、「芝居の世界は勝ち負けではない」との気づきはいつ頃でしたか?

『家政婦のミタ』(日本テレビ)で初共演させていただいた平泉成さん、映画の『ポプラの秋』で共演させていただいた中村玉緒さんなど、ポイントポイントで出会えた方がたくさんいました。

特に平泉さんは初共演から数年後、中学生のときにもう一度共演させてもらったんです。その頃、ちょうど中学から高校に上がるタイミングでした。

「フィギュアも大好きだし、お芝居も大好きだけど、このまま両方を続けていいのかな」という相談をしたら、平泉さんは「好きなことをたくさん見つけられるって、すごいことなんだよ。何を好きなのかがわからない、という状態だってあるけど、望結ちゃんは好きなことをこれだけたくさん見つけられたんだから、周りの目は気にせずに、自分がやりたいなら続けるべきだよ」って伝えてくださって。

そんなふうに、(人生の)分岐点で出会えた方がたくさんいて、その皆さんには感謝しています。皆さんの言葉がなかったら、自分の気持ちを押し殺して、いまとは違う選択をしていたかもしれない。



それは絶対に後悔につながっていたと思うので、本当にまわりの方に恵まれていて、いいタイミングでいい方に出会えたと思っています。

小さい頃は、そういうのを“運命”だと思っていましたけど、いまでは“必然”のように感じますし、そういう出会いは常に大切にしていきたいなって思っています。

――お名前の「望結」の由来は、「望んだことがすべて結ばれるように」という意味だそうですね。“いい出会い”を引き寄せる秘訣はありますか?

結果論にはなっちゃいますけど、やっぱりこれまでに学んだことすべてが結ばれているのは間違いなくて。それが成功かどうか、って言われると難しいけど、今の自分にすべてがつながっているのは、名前の通りになっているなって思います。

“必然”という言葉が好き、という部分にもつながりますけど、「生まれたときから、自分の人生は決まっていたのかな」っていう気もします。

だからこそ、将来のことを考えても怖くないというか、きっといいタイミングでいい出会いがあるし、きっといいタイミングで“頑張るための壁”が出てくると思えていて、どんな状況に置かれても、怖さよりわくわくする気持ちのほうがすごく強いです。

引き寄せるパワーとかは意識したことがないですけど、ひとりがすごく苦手で、常に誰かと話していたいので、そういう性格だからこそ深く相談できるお友達や先輩方に出会えているのかもと感じています。

――ちなみに、今年の春からひとり暮らしを始められましたが、順調ですか?

順調だと(自分に)言い聞かせています(笑)。でも、やっぱり7人家族で過ごしていたので、どうしてもひとりが怖いというか、ドキドキして、全然慣れないです。

もしかしたら、ひとり暮らしは向いていないかもしれないですね(笑)。ひとり暮らしでやってみたいことが夜更かしだったんですけど、いまも規則正しく夜10時には眠たくなってしまって、ぜんぜん夜更かしができないんです(笑)。



#2に続く


取材・文/佐藤麻水
撮影/飯岡拓也


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