漫画のリサーチのためにAGAや薄毛のことを調べていると、自身のターゲティング広告が「発毛育毛」関連の広告ばかりになってしまったという漫画家・トリバタケハルノブ氏。そんな氏が描く『東京ハゲかけ日和』第3話で、注目したこととは。

髪のことが頭から離れないシンプルな理由


近ごろ寝ても覚めても考えるのは頭髪のことである。

こんな漫画を描いているのだから当然のことだと思う一方、家族のことや地域社会のこと、世界中で起こっている諸問題など、他にもっと目を向けなければいけないことがあるだろうとも思う。だが頭髪のことが脳裏から離れないのだ。

漫画の第2話で「ターゲティング広告」に関する話題に少し触れた。あれは僕自身の体験談で、ある時期からwebサイトや動画を見ている際、やたらと薄毛に関連する広告が表示されるようになったのだ。おそらく性別や年令で判断されたのだろう。



その程度ならまだよかったのだが、最近は漫画を描くうえでのリサーチとして、薄毛治療や発毛クリニック、育毛剤、サプリメント、さらにそれらを試した上でのレポート、かかった費用などを毎日のように検索している。僕がターゲットに配信する広告内容を決めるAIだったとしたら、「コイツは頭髪に関してそうとう切羽詰まった悩みを抱えた男である」と判断するだろう。

その結果、SNSに表示される広告は育毛・発毛に関するものばかり。YouTubeのおすすめに表示される動画も、半分以上が発毛・育毛体験に関するもの。発毛・育毛youtuberがいるなんてことは最近になって初めて知った(うっかりおすすめのサプリを購入してしまった)。

気分を変えようと外に出れば、今度は「街中にこれほど育毛・発毛に関する広告があったのか!」と気付かされる。

若いころ読んだ本に「カラーバス効果」という項目があった。<特定の色を意識して生活することで、その色ばかりが自然と目に留まるようになる。意識する色を変更しながら、ロゴや広告・看板などにどんな色がどんな用途で使われているかを学ぼう>という内容だった。

それと同じことが頭髪関連で起こったということだ。

頭髪に関することから離れるつもりで街に出たはずが、日々頭髪のことを意識する生活を続けたせいで、歩いていても電車に乗っていても、広告や看板が自動的に視界に入ってくる…いや、僕の脳が無意識にそれらを目で追うように変化してしまったのだ。

こうなったら自然の中に逃げ込むしかない。早朝、自転車で少し遠出をしてみた。人通りの少ない時間帯、土手に座ってジーッと小川の流れを見つめていたら、ようやく少し気分がスッキリしてきた。

僕は少し疲れているのかもしれない。久しぶりに気のおけない友人と、できれば酒でも飲みながら、とりとめもないバカッ話ができたらなあ…。でもやっぱり同年代だと頭髪の話になってしまうかな…。ああ、また頭髪のことを…。

そんなことをボンヤリ考えたあとで描いた第3話。そういえば、「髪は長―――い友達です」という育毛剤のコピーがかつてあったような気がします。


【漫画】東京ハゲかけ日和第3話(漫画を読むをクリック)










第4話の配信は12月1日(金)18時の予定