昨年はNHKの朝ドラ『エール』で主人公の娘・古山華役を演じきり、ドラマ『この恋あたためますか』では中国出身のコンビニ店員・スーちゃん(リ・スーハン)役を好演。独特な演技が光る個性派女優として注目を集める古川琴音さん。

この春もドラマ『コントが始まる』や映画『街の上で』など話題作の出演がある中、NHKの特集ドラマ『流行感冒』(BSプレミアムにて本日4月10日よる9時放送)では初の時代劇に挑戦している。

同作は、志賀直哉の短編小説『流行感冒』をドラマ化。大正時代に起こったスペイン風邪(スペインインフルエンザ)の流行をテーマに、人間不信に陥った小説家の主人公(本木雅弘)が人への信頼を取り戻し、日常に戻るまでの心情を描いた物語だ。

――昨今の状況と重なるような特集ドラマ『流行感冒』。古川さんが演じる女中の石(いし)はどんな役ですか?

古川 主人公の作家さんが暮らす、立派な日本家屋で働いている女中の役です。時代劇は初めてだったので、とても新鮮でした。カツラは結髪さんが毎朝やってくださり、撮影現場では時代劇のプロフェショナルの方々から色々と勉強させて頂きました。

――100年も前のお話ですが、スペイン風邪の流行は今のコロナ禍と状況が似ていて。感冒が流行する中、女中の石がお芝居を観劇した疑いをかけられるところも今まさに起きていることですよね。

古川 感染の広がり方もそうですし、亡くなってしまった方のニュースは大き影響があったこともよく似ているなと思いました。行きたい場所へ自由に行けない、会いたいのに会えない。そんな思いを抱える人はたくさんいると思うので、共感してくださる部分も多いんじゃないかなと思います。

――まだまだ自粛ムードが続いてますが、新型コロナが収束したら何がしたいですか?

古川 撮影現場での触れ合いなども難しくなっているので、早く現場のみんなと気軽にハイタッチできるようになればいいなと思います。

――ハイタッチ? クランクアップとかに、みんなでイェーイ!みたいな感じですか?

古川 はい(笑)。握手とかハグすることもありますし、「お疲れさま! 一緒に頑張ってよかったね」という気持ちを確かめ合うじゃないですけど。

――ハイタッチしたくなるような現場っていいですね。これまで出演された中で印象的に残っている作品はありますか?

古川 去年出演させていただいた、朝ドラ『エール』と『この恋あたためますか』の2作品は特に印象に残っています。同じ時期の撮影で全く違う役を演じて、改めてお芝居の面白さを実感できました。

――『この恋あたためますか』ではスーちゃん役がハマりすぎて、中国生まれなんじゃないかって噂もあったほどです。

古川 中国語、頑張りました(笑)。役柄の印象で出身地を勘違いされることはうれしかったです、思わせたもの勝ちなので。でも、日本語のセリフも「中国人みたい」って感想をいただいたときは、普段どおりに話していたのにちょっと複雑な気持ちになりました(笑)。

――そして、朝ドラ『エール』では主人公夫妻の娘・華役。中学生時代から嫁ぐまで、幅広い年齢を演じ切りました。母親・音役の二階堂ふみさんとは実年齢では変わらないのに、本当の親子のようで。

古川 ありがとうございます。ふみさんとは年齢が近いので、私がちゃんと娘として見えるかは不安な部分でもありました。特に思春期のシーンが難しかったので、海外ドラマ『ギルモア・ガールズ』を観て研究したんです。アメリカの母子家庭の親子のお話なんですけど、思春期の華と音さんの年齢に近い設定だったので、母に対する感情のぶつけ方などを参考にしました。

――古川さん自身は、思春期に親に反発することってありました?

古川 ほとんどなかったと思います。でも、1週間だけ、お父さんに対してピリピリした態度を取ってしまう時期がありました。そしたら、なぜかお父さんの調子が悪くなってきて、ひとりで部屋にこもってお酒を飲むようになって。これはヤバイと焦った記憶があります(笑)。

――お父さん、よっぽどショックだったんですかね。役作りとして、同じような設定の作品を観ることって多いんですか?

古川 今の自分にない感覚や知らない知識があるときは、観るようにしています。今回の『流行感冒』でも、大正時代の家事のやり方や家族の考え方が今とは少し違うと思い、一緒に暮らしながら働く女中が居るという感覚を知りたかったので、同じ時代の女中奉公が描かれている作品を観て、参考にしました。ご主人と女中の身分差の感覚を言葉にするのは難しいんですけど、演じる上でのヒントはありました。

――今年、挑戦してみたいことはありますか?

古川 去年は映像のお仕事がほとんどだったので、舞台などもっといろいろな場所でお芝居できればいいなと思います。機会があれば、声だけのお仕事もやってみたい。喋り方に癖があると言われるので、技術的な部分をもっと高めて表現の幅を広げられるようになりたいです。

――プライベートでやってみたいことは?

古川 たくさんあるんですけど、最近ハマっているのはガーデニングです。ほかにも、こういう窓にしたいとか、将来住む家のことを考えるのが好きなんですよね。今、実家のお庭が雑草だらけで、すごく無法地帯なんです(笑)。だから、実家のお庭を理想的なお庭にしたくて、いろいろ調べているところです。

――理想のお庭とは?

古川 自然に育ってきた植物の美しさを活かすというか、ハーブが多くて、整いすぎてなくて、お花もたくさん咲いているような......。ターシャ・テューダーって知っていますか? 絵本作家さんなんですけど、18世紀頃の農家の暮らしを実現されていた方がいて、お庭がすごくきれいなんです。ターシャのお庭を目指してます!(笑)

(スタイリング/中井彩乃 ヘア&メイク/山口恵理子)

■古川琴音(ふるかわ・ことね)
1996年10月25日生まれ。神奈川県出身。
○2018年のデビューから話題作に出演し、昨年はNHK連続テレビ小説『エール』で朝ドラ初出演。4月10日放送の特集ドラマ『流行感冒』(BSプレミアム よる9時放送)に出演するほか、4月17日スタートのドラマ『コントが始まる』(日本テレビ系)、4月9日より公開された映画『街の上で』など出演作が続く。
公式Instagram【@harp_tone】

取材・文/釣本知子 撮影/松岡一哲