所属事務所(SMA)も同じ薄毛芸人ふたりが、意地とプライドをかけ自身の髪型について激論を交わす......はずだったが、のっけから先輩・ハリウッドザコシショウによる後輩・松本りんすへのダメ出しが止まらない......!

* * *

■薄毛になり始めたのは20代? 30代?

――スキンヘッドとカツラ、どちらの髪型が芸人にとって得なのか? 代表格のおふたりにご意見をお聞きしたいです。

りんす 今日話すことを考えてきたんですけど......(小声)。

――いや声小さいですね(笑)。

ザコシ こいつは声小さいんですよ! 一人前の芸人じゃないですから。

――いやいや、りんすさんは、『R−1ぐらんぷり2019』で3位。だーりんずとしても『キングオブコント』で2度ファイナリストになってますから。

ザコシ そんなもん全然です。いまだに自分の面白さを伝えられてないですから。わかりますよね?

――それはわかります。

りんす わかるんかい!

ザコシ だって『キングオブコント』に出て2回とも8位ですもん。あのネタじゃ1位は取れない。あれじゃあ売れない。じゃあ、どうしたらいいか? それを真剣に考えないといけないじゃないですか。

――今回のテーマは薄毛なので、それは別の機会に......。

りんす 今日は僕の面白さが世に伝わればと思ってます。

ザコシ 俺もそう思ってるけど、おまえは毎日、ていたらくやんか。俺が「SNSで発信しろ」って言ってるのに「やっても反応が薄いから」ってすぐやめるんですよ。

――お気持ちはわかりますが、今回はテーマが違うんで......。

ザコシ いや、この論争も関係あるんですよ。すべてつながります! 「あ〜、やっぱり、りんすのカツラはていたらくが原因やな」ってなりますから。

――ちなみに、おふたりはいつ頃から薄毛になり始めたんですか?

りんす 30歳すぎです。薄毛の位置が頭頂部からちょっと右側にズレてて。コントをやるときに右側の薄毛をお客さんに見られないようにしてたら、立ち方や演技がおかしくなって......。「あまりにも気になる」ということで伊集院光さんにカツラを買ってもらいました。

ザコシ こいつ、またカッコつけましたわ。おまえは30歳より前からハゲとったやないか! 「松本りんす」という芸名の由来がそもそもね、こいつの頭がドボドボだったからなんですよ。

――頭がドボドボ?

ザコシ 毛量が少なくて猫っ毛の上に頭皮が脂性だから、髪型がドボドボに崩れるんです。「髪をリンスで洗ってこい」ということでこの芸名になったんですよ。それがだいぶ前なんで......おまえ、20代からハゲとったやないか!(笑)

りんす いや、お客さんが気にし始めたのが30代初めぐらいって言ったんですよ。

ザコシ 「お客さんが」なんて言ってないやん! ハゲ始めはいつかって聞かれたんやで。

りんす 26歳ぐらいです。

――だいぶサバを読んでるじゃないですか(笑)。

ザコシ ハゲ隠蔽(いんぺい)すな!

りんす なんやハゲ隠蔽て。カツラで隠蔽してるけども(笑)。

――(笑)。ザコシさんはいつ頃から薄くなり始めたんですか?

ザコシ 若手時代に集合写真を上から撮ったときがあったんですけど、出来上がった写真を見たら俺だけ頭に穴があいてて。「うわー、これハゲてるやん」って。それが28歳ぐらいです。

りんす 薄毛入門は同期ですね。

ザコシ なんで同期やねん。おまえは26歳やろ。全然ちゃうやん。俺は昔、金髪とか青髪にしてたんで、そこからハゲのスピードが速まったんですよ。

――スキンヘッドにしたのはいつ頃ですか?

ザコシ コンビを解散してピン芸人になったときですね。いい機会だからキャラをチェンジしようと思って。ああいうネタをやるんで、髪があったら笑いがブレちゃうから、スキンヘッドにして良かったです。

■植毛失敗は粘着カツラのせい!?

――バイきんぐの小峠英二さんはご自身も含めて、「スキンヘッドは薄毛から逃げた人」だと。その点、トレンディエンジェルの斎藤司さんは「薄毛と向き合ってる」と言ってました。

りんす 僕もその話を聞いてたんで、小峠さんと飲んだときに「スキンヘッドって逃げじゃないですか」って言ったら、「いや、カツラのほうが逃げだよ」ってめちゃくちゃ怒られました。

ザコシ そらそうだろ(笑)。俺たちはさらしてんだよ。おまえはカツラをつけて偽ってんだから。一番逃げてんのはおまえだよ。

りんす 自分の薄毛の位置づけがわかってなかったです。

――そういえば、りんすさんは植毛もしてましたよね?

りんす 番組の企画で、ネタで優勝したらタダで植毛できる大会があったんです。でも、結果はこんな感じで......。

――なんで成果が出なかったんですかね?

りんす ずっとカツラをつけてたせいで、毛根が傷んでたのかもしれないです。取り外しタイプじゃなくて、お風呂も寝るときもずっとつける粘着タイプだったのが影響してるみたいで。

ザコシ それもこいつの浅ましいところでね。伊集院さんがカツラを買ってくれたときになぜ粘着タイプを選んだかというと、ハゲを見られたくないし、カツラをパカっと外すノリをやりたくないから。こいつはプライドが高いんですよ。

――自己防衛のためにカツラの選択ミスをしてしまったと。

ザコシ そこからはハゲるスピードが速かった。ハゲ方がシューマッハと呼ばれてましたから。常にポールポジション(笑)。

りんす 誰がハゲの予選、毎回1位なんですか! そんなこともあったので、ザコシさんにお金を借りて取り外しタイプのカツラを購入しました。

――いくらぐらいしました?

りんす 定価は60万円ですが、粘着タイプを買ったときのよしみで35万円でした。

――それでも高額ですね。

りんす だから、これからはもっとカツラをネタにしていこうと思ってます。

ザコシ いや、「これからは」やないやん。俺がめちゃくちゃ何回も言うて言うて言うて、やっとしぶしぶ納得したって感じやないか!

りんす こんなに怒られます? 今日はスキンヘッドを倒す気持ちで来たのに......。

■カツラと芸風は関係ある?

――りんすさんはそもそも、2年前の『R−1』でカツラネタを披露して3位になってますよね。

ザコシ いや、そのネタもね......。俺のYouTubeでりんすが主役の回があって、帽子をかぶった上にカツラをかぶって、「おまえ、サンバイザーかぶってんじゃねぇよ!」ってノリから出来上がったネタなんですよ。『R−1』前日も事務所の芸人を集めて、「ジャンプ放送局」みたいな感じでみんなにネタを考えてもらって。だから、あのネタは『ドラゴンボール』の元気玉なんです。

――芸人仲間の力を集めて3位になれたんですね。

ザコシ それなのに、いざ3位になったら、「俺の力だけで」みたいなおごりが出たんです。態度がデカくなって、マネジャーに「これからはピンで仕事入れてくれよ」とか「俺、もうバイト辞めてええんか?」とか言って。それがいかんかった〜。

りんす マネジャーから「落ち着いてください!」って返信がありました(笑)。

ザコシ 謙虚さもないし、プライドも高いし、それがすべて芸風につながるんです。

りんす 芸風は関係ないでしょ。なんですべてにつながるんですか?

ザコシ 関係あるよ。『アメトーーク!』にりんすが出たとき、小峠からカツラのフリが来たんですよ。パッと取ればいいのに、しょうがなしに取って。しかも1秒ですぐ元に戻したんです。

――「早すぎる」と周りに怒られてましたよね(笑)。

ザコシ 全国放送で見せたくなかったんか?

りんす ハズいやん。

■プライベートでかぶる? かぶらない?

――芸人として薄毛で得したことはありますか?

ザコシ 役者の仕事が来たのは得したやろ。

りんす そうですね。「30代はエリートだったけど、50代で地の底に落ちるサラリーマン」という設定のひとりふた役の仕事が来たんですよ。実年齢は40歳だったんで、30代役ではカツラをつけたり、メイクでシワを消したり、1時間半ぐらいかけて準備して。30代役の撮影が終わって、カツラを外してメイクを落としたら、すぐに「はい、50代役いきましょう」って。

――早いですね(笑)。

りんす 「50代はまんまなんかい!」って。めちゃくちゃムカついたんですよ。

――プライベートではカツラをつけているんですか?

りんす つけてないです。仕事以外で外出するときは帽子をしっかりかぶってます。カツラの裏のアタッチメントが4点あるんですけど、全部壊れちゃったので普段はつけられなくて。

ザコシ いやいや、それぐらいのカツラのほうがええやん。だって、普段かぶってて風でヒューって飛んだら、その話が舞台でできるやん。

りんす いや、でもアタッチメントが壊れてるし。

ザコシ 「アタッチメントが壊れてる」とか知らんがな! 売れたいなら普段からかぶれよ! こいつ、わかってないんですよ。ほら、やっぱり、ていたらくやん。

りんす わかりました。やりますよ。

ザコシ 俺はね、薄毛を生かしたコントでまた『キングオブコント』に出てほしいんですよ。

りんす 今年は僕らもそのつもりでいます。今、薄毛ネタをライブでやっていてお客さんの反応もいいんですよ。ただ、僕は心から楽しんでやれてはいません。

――(笑)。ザコシさんは今後、逆に髪の毛を伸ばしたりはしないですか?

ザコシ 皆さん、不祥事を起こして反省するときに丸坊主にしたりするじゃないですか。でも、俺の場合は逆に髪の毛を伸ばすほうがみっともなくて恥ずかしい。だから、もし謝罪会見をするときがあったら、髪の毛を伸ばします(笑)。

●ハリウッドザコシショウ 
1974年生まれ、静岡県出身。NSC大阪校11期。陣内智則、中川家、ケンドーコバヤシらが同期。2002年にコンビを解散し、ピン芸人に。2007年スタートの『あらびき団』(TBS)で活躍し、2016年、誇張モノマネで『R−1ぐらんぷり』優勝。『HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル』(Amazon Prime Video)でも2度優勝。

●松本りんす 
1977年生まれ、兵庫県出身。NSC名古屋校8期。2016年、2018年の『キングオブコント』で共に決勝8位。2019年の『R−1ぐらんぷり』で決勝3位。ふりかけ式増毛、カツラ、植毛などありとあらゆる増毛を体験。愛用するカツラは"西新宿(のガード下)の臭い"がするらしい。11歳年下の女芸人・ゆーびーむ☆と交際中。

取材・文/インタビューマン山下 撮影/山上徳幸