今年は「仮面ライダー生誕50周年」。そこで9月13日に発売された『週刊プレイボーイ39&40合併号』では「仮面ライダーヒロイン集結」と題し、歴代の仮面ライダーヒロインたちが登場。最新水着グラビアをはじめ、インタビューなどで仮面ライダーシリーズへの愛を見せてくれている。

そんな特集から、歴代ヒロイン5名のインタビューを最新撮り下ろしとともに連続掲載。最終回は『仮面ライダーオーズ』(2010〜2011)に出演した矢作穂香さんが登場。彼女が演じたメズールは、水棲生物の特性を持つ幹部グリード(怪人)。若い女性の姿で人間社会に紛れ込み、水棲系の怪人を操りながら主人公・火野映司らと戦った。矢作さんが、当時を振り返る!

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――矢作さんはもともと、『仮面ライダー』をご覧になったことはありましたか?

矢作 もちろんです。父が『仮面ライダー』の大ファンなんです。なかでも初代ライダーが好きで、子供のときから一緒にDVDをよく見ているうち私もファンになりました。平成シリーズでは『仮面ライダーカブト』が好きですね。

――では『仮面ライダーオーズ』には自分から出たいと?

矢作 オーディションがあると聞いて、私も好きだし、父をびっくりさせたいとも思い、受けました。でもヒロインには落ちてしまって。残念に思っていたら、メズール役のお話をいただきました。

矢作穂香さんが演じたメズール(©石森プロ・東映)
矢作穂香さんが演じたメズール(©石森プロ・東映)

――メズールは悪役ですよね。ちょっとがっかりしたのでは?

矢作 いえいえ。実は初代ライダーで一番のお気に入りが女怪人の蜂女で。彼女のシーンだけ何度も観ていたほど大好きだったんです。悪役と聞き、むしろうれしくなりました。父も喜んでくれました。

――メズールは水棲生物の特性を持つ幹部グリード(怪人)。怪人態は頭部がシャチで、ウナギ、タコのパーツの体を持っていました。

矢作 最初、聞かされた時は、どんな怪人なのかまるで想像つきませんでした(笑)。私、幼い頃に水族館で見て以来、シャチが怖くて。最初はちょっと苦手でした。でも、それ以上に演じる上で不安があって。

――不安、ですか?

矢作 メズールって見た目は女のコなんですけど、800歳と大人で(笑)、しかもクールで色気のあるキャラクター。当時13歳だったので、そんな役はやったことなくて。一体、どう演じようかなって。

――どんな役作りを?

矢作 大人っぽくセクシーなイメージの女優さんの映画やドラマをたくさん見ました。あとメズールの怪人態は、声優のゆかなさんが大人っぽく声を当ててくださっていたので、そのお芝居を参考にしたり。特にゆかなさんの声はすごくイメージが湧きました。そうしているうちいつも腕組みしたり、ポケットに手を入れたり、ちょっと上目遣いで偉そうに話をするなどの工夫を重ねました。

――実際、「魔性の美少女」「驚異の13歳!」みたいに言う視聴者は多かったですよね。

矢作 当時は年齢を言うと毎回、驚かれました。必死にやっていたので色っぽいと思ってもらえると、やっぱりすごくうれしかったです。でもいま客観的に見返してみると「全然、色気足りてないなぁ」って思いますけどね(笑)。

――撮影現場にはすぐに馴染んだんですか?

矢作 最初は隅っこにひとりでいるみたいな感じでした。徐々に現場にも馴染むことができました。特に同じグリード役で絡みの多かった松本博之さんには可愛がってくださり、お芝居をはじめいろいろなアドバイスをいただきました。

――その松本さん演じるガメルは純真なキャラクターで、メズールを姉のように慕っていました。大の大人である松本さんが、13歳の矢作さんに甘え、頭を撫でられて浮かれてる姿は面白いというか、なんとも奇妙な印象を受けました。

矢作 私たち怪人だけの時はシリアスな雰囲気が多かったですから。そういうシーンが多かったのは、それを観てホッと一息ついてもらおうみたいな意図もあった気がします。私も松本さんも楽しんで演じてました。

――特に印象に残っているエピソードは?

矢作 なんといっても物語の前半でオーズと戦って、死んでしまう回です(第16話)。クライマックスでガメルと一体化して、巨大モンスターになるんですけど、ガメルを取り込む時、「あなたが全部欲しいのよー!」って思い切り叫ぶんです。そんなふうに全身でセリフを叫ぶなんてやったことなかったので、最初はちょっと恥ずかしかったです(笑)。演じ終えた後は達成感がありました。

――その後、第36話でメズールはガメルと復活を果たします。

矢作 それはすごくうれしかったです。第16話で死ぬとき、「え? もう出られないの?」ってすごく残念に思いましたから。お休みしている間は別の作品に出演していたんですけど、その経験を生かし、復活後はよりお芝居に余裕を持って撮影に臨めました。

――メズールがご自身と似てるなと感じたところはあります?

矢作 相手は怪人ですから(笑)。演じてるときは自分と似てるなんて思ったことなかったんですけど、振り返ってみると高校生くらいから友達に「面倒見がいいね。お姉さんというか、お母さんみたい!」と言われることが多くて。もともとガメルに対するお姉さんらしいところは、似てたのかなぁと思いました。

――劇中でメズールに共感を覚えたことはありました?

矢作 メズールって怪人たちのお姉さん的な存在なんです。仲間同士がケンカになると、間に入って止めたり、あるいは優しく諭したり。そんな仲間意識を大事にしつつ、冷静な対応をする姿は演じながら「すてきだな」「こんな落ち着いた女性になりたいな」って、ずっと憧れていましたね。

――とても思い入れを持って、演じていたんですね。

矢作 はい。演じていて本当に楽しかったです。今思うとあの年齢で、等身大とは違う役をやらせていただいて幸運だったなってつくづく思います。演技の幅が大きく広がりましたし、最後まで演じきったことで、こういう役もやれるんだと自信にもなりました。

――今後、大好きなライダーシリーズにまた出るチャンスもいつかあると思いますが、次はやっぱりヒロインをやってみたいですか?

矢作 ヒロインにこだわりはないです。どんなお仕事、役柄にもチャレンジすることで得られる喜びがあると思うので。それも『仮面ライダーオーズ』に出演して、学びました。メズールは私の女優人生の中ですごく大きな存在です。

■矢作穂香(やはぎ・ほのか)
1997年3月7日生まれ 千葉県出身 〇現在『ゴー!ゴー!キッチン戦隊クックルン』(NHK Eテレ)に出演中。10月8日(金)から主演ドラマ『おしゃ家ソムリエおしゃ子!2』(イエーガー・おしゃ子役)がテレビ東京ほかで放送開始予定。主演を務めたオムニバス映画『THEATERS』内の短編『あほゥルニューワールド』が2022年公開予定。公式Instagram【@honoka_yahagi】、公式Twitter【@hononoyh】

取材・構成/大野智己 撮影/荻原大志