森アーツセンターギャラリーで7月16日より開催されている「特別展アリス―へんてこりん、へんてこりんな世界―」の展覧会サポーターに就任した上戸彩。これまで映画の吹き替えなど声の仕事はやってきているが、展覧会の音声ガイドを務めるのは初めてだという。

開催日の前日に行われたオープニングイベントに登壇した彼女を直撃し、展覧会の見どころや自身の出演作品、2児の母としてお子さんとの夏の過ごし方について聞いた。

――『不思議の国のアリス』にまつわる作品が一堂に会する「特別展アリス―へんてこりん、へんてこりんな世界―」。実際に展覧会を見て、いかがでしたか?

上戸 作品数の多さに驚きました。約300点もの作品が展示されているので、ひとつひとつをじっくり見るとなると全然時間が足りないくらい充実していました。『不思議の国のアリス』の原画や衣装があったり、プロジェクションマッピングや鏡で遊べたり、楽しみ方がたくさんあって。今まで展覧会を見に行ったことがなかったので、こんな楽しみ方ができるのかと勉強になりました。

――いろんな作品があるなかでも気になっていたのが、ドードーの複合骨格でした。

上戸 私のなかではアニメーションの『ふしぎの国のアリス』の印象が強いので、目の前で複合骨格を見たことで実写化されたというか。ドードーはこのくらいの大きさだったんだな、それならアリスはこれくらいかなとかアニメーションの世界を現実のようにイメージしちゃいました。

上戸さんが気になっていたと語るドードーの複合骨格が展示されているスペース
上戸さんが気になっていたと語るドードーの複合骨格が展示されているスペース

――他にも気になった作品はありましたか?

上戸 「狂ったお茶会」はプロジェクションマッピングを使っているのですが、今の技術を使ってこんな楽しみ方もあるんだなぁと驚きました。テーブルや椅子を置くようなワンパターンの展示ではなく、時間の経過を感じることができるんです。しばらくその場に立ち止まって、次の演出に変わるのを待っていました。その前に「チェシャー猫」の展示もあったのですが、1回見過ごしてしまって戻ってからじっくり見ました。ひとつひとつが貴重で大切なものになっているので、見過ごしてしまうともったいないです!

プロジェクションマッピングの技術が使われている「狂ったお茶会」の展示。変化していく色彩は見ごたえ抜群
プロジェクションマッピングの技術が使われている「狂ったお茶会」の展示。変化していく色彩は見ごたえ抜群

――「狂ったお茶会」や「チェシャー猫」は舞台デザイナー、トム・パイパーによるインスタレーションですが、子供から大人まで楽しめそうですね。そして今回、初めての音声ガイドにも挑戦されました。実際に、ご自身の声を聞きながら展覧会をまわられたんですか?

上戸 そうですね。1番だけ聞かせていただいたのですが、自分の声には聞こえなくていい声だなぁと思いました(笑)。自分の声に聞こえると恥ずかしさとか違う意識が出てしまうので。音声ガイドにはアリスとしてのセリフやクイズもあるのですが、家で練習していたときに娘が「何番!」ってクイズに答えていたんです。そういう没入型の展覧会ということで、来場者の方々もアリスの世界に入ってもらえるんじゃないかなと思いました。

――いつの時代もさまざまな作品を残しているアリスですが、上戸さんも女優としてさまざまな作品に出演。自分の作品を見返すことってありますか?

上戸 忙しかった時期はチェックをしてなくて、自分に興味がなかったんですよね。それが20歳を過ぎてから、少しずつ時間と気持ちに余裕が出てきて見るようになりました。連ドラをオンタイムで見たり移動時間に完パケを見させてもらったりして、物語のつながりを頭の中でイメージしたいときに見るようにしています。

――作品を見ると何か変わるものですか?

上戸 変わるというか、他の方々を見て自分のお芝居って下手だなぁとは感じますね。これまではアウトプットしかしてこなかったので、インプットするようになってから「他の女優さんはすごいな」と思うことがあります。

――そんなこと思うんですね。上戸さんの作品を知らない人なんて日本にいないってくらいたくさん出演されてるのに。

上戸 いやいや、そんなことないですよ。最近はジェネレーションギャップを感じることが多くて。現場の若い女のコからドラマの話を聞くとショックを受けます。"ロンバケ"も『踊る大捜査線』も見たことがない。私の作品で言うと、『エースをねらえ!』とかじゃなくて、『暴れん坊ママ』なら知っているって。私のなかでは最近の作品なんですよね。

――まさか上戸さんの「金八先生」も知らないってことですか!

上戸 そうそう、そうなんです! ジェネレーションギャップですよね。私が歌の活動をしていたことも知らないと思います、今の若い方は(笑)。

――女優でありながら、それこそ歌だったり『M−1グランプリ』の司会だったり、幅広くお仕事されてるじゃないですか。お子さんはママの職業をわかってるんですか?

上戸 娘から「なんでそんなに握手を求められるの?」みたいなことを聞かれたときは、「ママはテレビに出るお仕事だから」って説明しています。友達に仕事のことを聞かれても、自慢げに話すようになったので、そういう反応はうれしいですね!

――そんなお子さんたちも夏休みシーズンを迎えていますが、上戸さんは夏って好きですか?

上戸 私、この世で一番セミが嫌いで、夏になると"またあの季節が来るのか......"みたいに気が重くて。夏の仕事は汗もかけないし、体はパンパンにむくんじゃうので苦手だったんです。撮影で顔が赤くならないように、汗が出ないようにアイスを食べて体内から冷やすとか。そんな夏しか過ごしたことがなかったのですが、今は子供と一緒にプールに入るとか夏らしいイベントをするようになって夏が好きになってきた気がします。

――セミが嫌いになったきっかけは?

上戸 小学校6年生のとき、私のオーバーオールの中にセミが入ってきたんです! ジリジリジリーってお腹と背中を行ったりきたりして、あの威力わかります? あまりの怖さに、当時住んでいた団地の1号室から10号室まで猛ダッシュしました。

――仕事現場じゃなくて家なんですね。

上戸 家です。たぶん世界記録いくんじゃないかってくらいずっとセミが入ったまま走っていて、途中でピューって飛んで行ったんです。その年にはやたらセミを踏んだりしてなんかセミづいちゃって......。あの日から苦手で、ミーンミーンって鳴き声を聞くのも今でもダメです。

――子供ってセミつかんで持ってきそうですね。

上戸 うちの娘が昆虫好きなので、セミとか全然平気で持ってくるんです! そういうときは、泣いています、号泣です。やめて〜!って(笑)。セミだけは慣れないですね。

――プールはセミがいないといいですね。では今後、挑戦したいことは?

上戸 久々に重い作品をやりたいです。最近、お母さん役などのファミリーものが多いのでそれはそれですごく幸せなのですが、コマーシャルも明るい上戸彩がたくさんいるので、ギャップというかお芝居だからこそ見せられる重さを表現できる作品に出会えたらいいなと思います。こればかりは運とタイミングですけどね。

――上戸さん主演のドラマ『いつか陽のあたる場所で』みたいな? 前科持ちの主人公のお話で。

上戸 あれは重いですね(笑)。ああいうずっしりした作品に挑戦したいです!

●上戸彩(うえと・あや)
1985年9月14日生まれ。「第7回全日本国民的美少女コンテスト」審査員特別賞を受賞後、女優デビュー。『3年B組金八先生』第6シリーズや『絶対零度〜未解決事件匿名捜査〜』、『半沢直樹』など、女優として映画やドラマ、CMなど多数出演。
公式サイト【https://www.oscarpro.co.jp/talent/ueto/】

■「特別展アリス―へんてこりん、へんてこりんな世界―」
〈東京会場〉
会期:2022年7月16日(土)〜10月10日(月・祝) ※会期中無休
会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52F)
開館時間:10:00〜20:00(月・火・水は18:00まで、最終入館は閉館の30分前まで)※事前予約制
※9/19・10/10は20:00まで。会期・閉館時間は変更の可能性があるため、詳細は展覧会公式サイトにてご確認ください。

取材・文/釣本知子 撮影/持田 薫