ゴミ清掃員としても働く芸人の滝沢秀一(マシンガンズ)が、ゴミを回収していて気が付いた事実、それが「金持ちの家から出るゴミは少ない」ということ。長年にわたりゴミを見続けた滝沢氏だからわかる、ゴミに隠された秘密を教えます! みんなでゴミを少なくして、金持ちになろう!

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日本の優勝で幕を閉じたWBCは、日本中がまさにお祭り騒ぎとなりました。決勝戦はまるで野球マンガのような展開で、手に汗握って観戦した方も多かったのではないでしょうか。中でも大谷翔平選手の大活躍はすさまじく、普段は野球に興味がない人でも大谷選手の話題となると食いつく人もいっぱいいて、いかに大谷選手への注目度が高いか、実感させられています。

この連載と大谷選手、何が関係あるんだ?とお思いの方もいらっしゃるでしょうが、大谷選手は「ゴミ拾い」でも大きな話題となっていたんです。

ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、ちょっとお付き合いください。

MLBでの練習中や試合中のベンチやグラウンドで大谷選手がゴミを拾う姿が報道され、その姿を称賛する声が上がりました。

落ちているゴミを拾う姿勢はとても素晴らしいですし、彼がそれをやることで子供たちにもマネする子が増えれば最高ですよね。しかしなぜ大谷選手はゴミを拾うのでしょう? その答えは、大谷選手が高校生のときに作成した「マンダラチャート」にあります。

「マンダラチャート」とは、自分の目標を達成するために作るチャートです。まず3×3のマス目を作り、その中央に自分の一番の目標を書きます。その目標を達成するために何をすればいいかを、周りの8個のマスに書いていくのです。

大谷選手は、「8球団からドラフト1位で指名される」という目標を立てました。それを実現するための8個の要素のうちの一つに、「運」という項目を立てています。さらにこの「運」を達成するために必要な8個の要素を書くのですが、そこに「ゴミ拾い」や「部屋掃除」を掲げています。

つまり、大谷選手がゴミ拾いや掃除をはじめたきっかけは、自らの「運」を上げるための日々の努力の一つだったんですね。このチャートを作ったのが2010年、そこから約13年経って、プロになり目標を達成した今でもゴミを拾い続けています。

日本ハムファイターズでGMを務める稲葉篤紀さんの行動に影響を受けたという話もありますが、大谷選手にとってゴミを拾うことは、自然で当たり前の行為となっているんでしょう。野球で結果を残すだけでなく、人間的にもこんなにもすごい人が実際にいるんですね。

このようなことをしている有名人は他にもいて、イエローハットの創業者・鍵山秀三郎さんは「どぶさらいをして横柄になった人間を見たことがない」というような考えから会社のトイレを毎日掃除し続けたそうですし、僕たちの大先輩であるビートたけしさんも、トイレ掃除は自分でやるというルーティンを設けているというウワサがありますよね。

ゴミにメッセージを入れてくれる人もいます。気配りができる人は、きっとみんなからも好かれるでしょうね
ゴミにメッセージを入れてくれる人もいます。気配りができる人は、きっとみんなからも好かれるでしょうね

先日、アルピニストの野口健さんと対談する機会がありました。野口さんは富士山のゴミを拾う活動を続けていらっしゃいますが、始めた当初はとても批判をされたそうです。

どういう批判かというと「まるで富士山にゴミがあるみたいに言うんじゃない」という批判だそうです。当時の富士山は実際にゴミだらけでとても汚れていたそうで、ピアノや冷蔵庫など不法投棄のゴミまであったそうです。しかしそれが分かっていない人や、汚いことを隠そうとした人がたくさんいた、ということです。

そんな批判にもめげずに野口さんはゴミ拾いの活動を続け、あと数年ですべてのゴミがなくなり綺麗になるところまでこぎつけたということです。

「ゴミ」に対する意識は時代によって変わります。40数年前の小学生の「遠足のしおり」を見る機会があったのですが「空き缶はちゃんと土に埋めて帰りましょう」と書いてありました。おそらく当時はそれが正しいゴミの処理の仕方だったのでしょう。今はその頃とは変わり、時代のヒーローと呼ばれる人たちがみんなのため、自らのために進んでゴミを拾う時代になりました。

僕が感銘を受けた森信三さんという方の言葉に「足元のゴミひとつ拾えぬほどの人間に、何ができましょうか」というものがあります。この連載のタイトルにある「お金持ち」になるためにも、まずは自分の身の回りのゴミを綺麗にすることから始めてみましょう。

滝沢秀一(たきざわ・しゅういち)
1976年9月14日生まれ、東京都出身。
お笑いコンビ「マシンガンズ」として活動するかたわら、ゴミ清掃員としての仕事もこなす。
著作はゴミ清掃員の体験を書いたエッセイ『このゴミは収集できません』ほか多数

※ごみの捨て方のルールは自治体によって異なります。お住まいの地域のルールをご確認ください。

イラスト/北村ヂン