J2リーグについて語った宮澤ミシェル氏
J2リーグについて語った宮澤ミシェル氏
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第180回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したこと、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、J2リーグについて。徳島ヴォルティスの優勝で幕を閉じた今シーズンのJ2リーグを宮澤ミシェルが総括。上位3チームの話題を中心に振り返ってもらった。

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徳島ヴォルティスは昨シーズンの昇格プレーオフで味わった悔しさを、今季のJ2リーグ優勝につなげたね。

今季は42試合で25勝9分8敗、67得点33失点。30節に首位に立ってからは一度もその座を明け渡すことなくJ2優勝。最終節でアビスパ福岡に敗れて勝ち点で並ばれたけれど、最後は得失点差34が大きくものを言ったね。

ただ、昇格のプレッシャーには苦しんだ。最終節のひとつ前の41節で大宮アルディージャに1−0で勝利してJ1昇格を決めたけど、昇格まであと1勝に迫ってからは2試合で足踏み。攻撃力が売りのチームが無得点だったのは、プレッシャーが選手たちを硬くさせたんだろうな。

昨季はリーグ戦4位から昇格プレーオフを勝ち上がったけれど、最後のJ1リーグ16位だった湘南ベルマーレとのアウェーでの直接対決で引き分けに終わって昇格できなかった。

でも、遠回りすることになった時間で、さらにチーム力を高めたよ。2017年に就任したリカルド・ロドリゲス監督のもと、前線からボールを奪ってボールポゼッションを高めるスタイルをさらに推し進めた。

来季は7シーズンぶりのJ1を戦うけど、ロドリゲス監督は浦和レッズに引き抜かれる。新天地を求める選手も出てくると思う。だけど、この3シーズンで築いたものを継続・発展できる新監督を連れてくることができれば、来季のJ1残留の可能性も見えてくるんじゃないかな。

最終節で徳島に勝利して一矢報いたアビスパ福岡も、来季は5年ぶり4度目のJ1を戦う。今季は42試合で25勝9分8敗は徳島と同じだけれど、51得点29失点に彼らの特徴が表れていたよ。

得点力は高くないけど、リーグ最少の29失点が物語るように守って勝つのが彼らのスタイル。粘り強く守って、ワンチャンスを決め切る勝負強さがあったね。

ただ、来季の福岡のJ1での戦いを想像すると、J2で通じた今季の守備が、レベルの高くなるJ1の攻撃力にどれだけ耐えられるのか。楽しみである一方、心配なところでもあるよ。守って勝つには、現状のままでは得点力があるわけではないから、単独でゴールを奪える得点力のあるFWの獲得も必要だよな。

来季のJ1リーグは、下位4チームがJ2降格になる。昇格の決まった悦びに浸りたい気持ちはわかるけど、いち早く切り替えて、残留を目指してクラブ全体で取り組んでもらいたいね。

V・ファーレン長崎は今シーズンの昇格最右翼だと予想していたんだけど、まさか失速するとはって感じだよ。8月29日の15節までは11勝2分2敗で首位に立っていたけど、9月から勝ち点3を取りこぼしたのが響いたね。

昇格できないことが決まった41節のヴァンフォーレ甲府戦は先制しながら、リードを守りきれずに引き分け。このあたりの歯車の狂いは、9月以降の長崎の戦いぶりを表していたように感じたな。経験値のある手倉森誠監督をしても、修正しきれなかったね。

昇格争いはこの3チームが牽引したけど、今季のJ2をおもしろくした存在といえば、間違いなくギラヴァンツ北九州だったね。昨季まで3シーズンJ3を戦ったクラブが、昇格1年目に5位と旋風を起こした。

このオフ期間は選手たちに他クラブからオファーが届くだろうから、来季もまた同じような成績を残せる保証はない。

だけど、残った選手たちと新規獲得する選手たちで今年の戦いをベースにしながら発展させて、来季は昇格争いの主役になってもらいたいね。

大分もそうだったけど、J3を戦っていても、その道はJ1へと続いているってのは、やっぱり夢があるよ。その夢を叶えるところが見たいんだ。

新型コロナ禍で日程面はJ1よりも過酷なシーズンだったJ2。来季も厳しい状況は続くけれど、日本を元気にするような試合を今年以上に見せてくれるのを待っているぜ!

構成/津金壱郎 撮影/山本雷太