日本代表戦について語った宮澤ミシェル氏
日本代表戦について語った宮澤ミシェル氏
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第197回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したこと、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、日本代表戦について。今年3月に行なわれた韓国代表との親善試合、そしてモンゴル代表とのW杯アジア2次予選を宮澤ミシェルが振り返った。

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そういえば3月の日本代表戦について話してなかったな。Jリーグがおもしろいから、ついそっちを優先しちゃったんだよね。

日本代表は韓国代表との親善試合を3−0、モンゴル代表とのW杯アジア2次予選を14−0で勝利。率直に言っちゃうと、相手の実力を踏まえれば日本代表にとっては海外組のコンディションを直に確認できたのが収穫だったというくらいだよね。

日本サッカーが今よりも強くなろうと思ったら、アジア各国のレベルが高まることは不可欠。だから、モンゴル代表にも強くなってもらいたいし、次回対戦する機会がある日に向けて、今回つけられた点差を大幅に縮められるようしてほしいね。

韓国代表は、我々の知る韓国代表ではなかったな。エースのソン・フンミン(トッテナム/イングランド)が故障でいなかったのは残念だったし、ファン・ヒチャン(ライプツィヒ/ドイツ)や、ファン・ウィジョ(ボルドー/フランス)などの海外リーグでプレーする攻撃陣も軒並み不在。今回のメンバーだとベストメンバーに近い日本代表が圧倒したのも当然ではあるよ。

韓国代表はベストメンバーでなかったことを差し引いても、心配になるくらいだったな。迫力も圧力もないし、なにより過去の日本代表が手を焼いた勝利への執念も感じられなかった。

今回の日韓戦では冨安健洋が肘打ちで前歯を折られたけど、あのシーンは韓国代表らしくない最たるものだったと思うよ。

これまでの韓国代表にも粗っぽいプレーはあったけど、それは常にゴールを奪うためにガムシャラにやるから出てしまうもの。でも、今回は自分たちがうまく戦えないフラストレーションを吐き出しただけ。根底にあるものはまったく違うし、こういうところに韓国代表の置かれた苦しさが見えた気がするよ。

日本代表はクラブで出場機会の少ない大迫勇也や南野拓実がしっかり動けるところを確認できたのがよかったよね。彼らは日本代表の大きな武器だからね。さすがにベストパフォーマンスの時のような凄みはないけれど、アジアレベルの相手にはまったく問題なくプレーしてたね。

鎌田大地は今回はトップ下で起用されたけど、あのポジションだと鎌田は雰囲気があるよな。所属クラブでもトップ下で存在感を見せているけど、代表でも彼の適性はトップ下なのかもしれないね。

南野はシャドーストライカー的な動きを得意にしているけど、鎌田のトップ下はまさに司令塔っていう感じなんだよ。

ただ、トップ下のポジションはひとつ。南野と鎌田を共存させるために、今回は南野を左サイドに置いたけれど、果たしてこれからもこの形になるかと言えば、わからないよね。鎌田と南野のどちらかを選択しなくてはならない可能性もあるだろうな。

そんな贅沢な悩みが出てくるようになれば、日本代表はもっと強くなっていけるよ。

まあ、その点で言えば、右サイドはすでに選択に頭を悩ますようになっているよね。今回は伊東純也が起用されたけど、期待通りのプレーを確実にやっていたね。まるで「1試合10本のクロス」というノルマがあるかのように右サイドを縦に突破して精度の高いクロスをあげてくれる。起用する側にとっては計算が立つから助かるだろうな。

ただ、ここには堂安律もいるからね。今回は招集されなかったけど、所属クラブでは攻撃の中心選手になっている。この二人を追って久保建英がいるけど、最終的にW杯カタール大会のメンバーには誰が入ってくるのかは興味深いよ。

国内組は与えられたチャンスでしっかりアピールできたのがよかったよね。特に海外組のいなかったサイドバックは、初代表の山根視来(川崎)も小川諒也(FC東京)も落ち着いてプレーでいていた。

もっとレベルの高い相手とやるときに通用するかはわからないけど、これから先の試合で海外組が精彩を欠いた場合に、代わりになれる可能性を見せてくれたんじゃないかな。まずは日本代表に加わっていくための最初のハードルは超えたってところだよね。

日本代表は6月に国内でW杯アジア2次予選の残り試合に臨むけど、代表選手が約2週間ほど一緒に活動できるなんてのは貴重な機会だから、試合での勝利はもちろんだけど、来年に迫っているW杯本番に向けて大事に使ってもらいたいね。

構成/津金壱郎 撮影/山本雷太