E−1選手権について語った宮澤ミシェル
E−1選手権について語った宮澤ミシェル
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第261回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したことや、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、EAFF E−1選手権について。本大会はカタールW杯を見据えた試合という側面に加え、もうひとつ見どころがあると宮澤ミシェルは語る。

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日本代表はJリーグ組だけで今夜の香港戦からEAFF E−1選手権に臨むけど、国内組の意地を見せてもらいたいよな。

香港戦の次は7月24日(日)に中国戦、最後は7月29日(水)に韓国戦がある。とりわけ韓国戦は、韓国で行われた前回2019年は最終戦で韓国代表に0−1で負けているからね。今回は日本開催だけに、しっかりやり返してくれることを期待しているよ。

結果も大事だけど、正直なところ、この大会の見どころは、日本代表の国内組がワールドカップ・カタールでの代表入りに向けてどんなアピールをするか。新たな選手がW杯日本代表に割って入ろうとするのは容易ではないけれど、可能性はゼロじゃないからね。目を見開いちゃうような活躍を見せてくれる選手がたくさん現れてもらいたいな。

ただ、11月から始まるW杯カタールを踏まえた視点で見ちゃうのは仕方ないんだけど、この大会にもうひとつ見どころがあると思っているんだ。それは、4年後の2026年W杯で日本代表の屋台骨を背負える選手を探すこと。

W杯は、今回は11月から行われるけれど、これまでの開催時期で考えれば、今ごろはもう4年後に向けて始動しているタイミングなんだよ。2026年W杯は史上初めてカナダ、メキシコ、アメリカの3ヵ国での共催されるんだけど、そこの舞台で戦う日本代表のチームづくりの第一歩がこの大会から始まると言ってもいいと思うんだよ。

だからこそ、6月にあったU−21アジアカップ組には注目しているんだ。彼らは2024年のパリオリンピック世代なんだけど、サッカーにおいては世界的に見たらオリンピックは通過点に過ぎないからね。そこをすっ飛ばしてワールドカップに出ることがスタンダードだから、日本代表の主力へと成長してくれるのを期待している。

そのU−21日本代表から、今回の日本代表に名を連ねたのが、GKの鈴木彩艶(浦和)、MFの藤田譲瑠チマ(横浜F.M)、FWはの細谷真大(柏)。3選手とも4年後は主力になってもらわなきゃ困る選手だよな。

GKの鈴木とボランチの藤田の持つポテンシャルの高さは目を見張るものがあるし、やっぱりハーフの先輩としては彼らは気になっちゃうわけですよ。父親がガーナ出身の鈴木は、身長が190cmあって、体重も93kg。それだけ重いのにバネのきいた動きがあるんだよな。以前はポジショニングがどうかなって思わせることもあったんだけど、そこもしっかり成長しているからね。日本代表は世界基準と比べたときにGKのサイズに悩んでいるから、この3試合の結果次第では、大逆転でW杯カタール日本代表に選ばれても不思議はないんじゃないか。そう思わせるだけの素材なんだよな。

藤田は父親がナイジェリア出身だけど、身長は174cmと際立って大きいわけじゃない。ただ、相手のボールホルダーとの間合いを詰めるテンポの良さや、体の強さはハーフだからこそなのかなって感じるよね。藤田が成長してくれたら、4年後の日本代表はひとつ不安要素を解消できるんだよな。いまの日本代表では遠藤航が大黒柱だけど、彼も29歳で4年後は33歳。年齢でサッカーをやるわけではないけれど、いまのような激しい動きを4年後も求めるのは酷ってものだからさ。藤田はU−21日本代表で主将を任されていたけれど、性格的に真面目だって聞くから、今後もひたむきに成長を遂げてくれると期待しているよ。

今回の代表からは選外になったけれど、U−21日本代表組で言えば、山本理仁は日本代表で見たい選手だったよね。普段はJ2の東京ヴェルディでプレーしているから、彼のプレーを見たことがある人は多くないと思うけど、ゲームをつくる能力は、かなりのものがあるよ。J1のチームに移籍しても間違いなくバリバリやれる選手。ヴェルディユース時代に一緒にプレーしていた藤田と、日本代表でもコンビを組むところが見たかったよね。ただ、ここから先、その機会は日本代表でもどんどん増えていくんじゃないかと思っているよ。

ほかにも、FW鈴木唯人(清水)やDFチェイス・アンリ(シュツットガルト)も日本代表で見たかったよ。鈴木は今年1月の日本代表合宿に呼ばれているから、森保一監督はあえて呼ぶ必要はないと判断したのかもしれないね。チェイス・アンリは身体能力は本当にすごい。ただ、サッカーを始めてからのキャリアの浅さを、身体能力でカバーしてきちゃったから、ポジショニングや流れを読むのが下手。そこをシュツットガルトで伸ばしていければ、間違いなく今後の日本代表のCBは彼で決まりだって思わせる素材だから、いまは代表よりも所属クラブで足りない部分を磨かせることを優先させたんだろうなって思うよ。

そう考えると、いまのU−21世代は伸びしろが期待できる選手が多いんだよ。東京五輪世代も冨安健洋や堂安律、三笘薫などがいてタレントの宝庫だなと感じたけど、それ以上に楽しみなんだよな。彼らが日本代表を突き上げるくらいまで成長してくれたら、2026年のW杯で日本代表は新たな歴史をつくることも不可能じゃない。そう思わせてくれるU−21日本代表世代にも注目して、EAFF E−1選手権をチェックしてくださいね!

構成/津金壱郎 撮影/山本雷太