ビジネスにおいて日本が世界をリードした20世紀。その状況は21世紀に入り、大きく変化している。GDPを見ても、先進国でも有数の高成長から低成長に様変わりし、いまだにその長いトンネルから抜けられないでいる。

この背景には「みな一斉に同じことをする」「ルールを厳格に守る」「すでにあるものの完成度を上げるのが得意」といった前時代には日本の強みだった特徴が、そのまま現在は弱みに変わってしまったことが指摘されている。安定した大量生産の製造業隆盛時代には強みだった日本人の特徴は、変化が激しいデジタル&サービス時代には、強みだったものが「多様性の考えが浸透しない」「ゼロベースで考えることが苦手」と負の側面に変わってしまう。

■これからの時代に必要となる「疑う心」「具体と抽象」

そこで重要になるのが「思考力」だ。

『思考力の地図 論理とひらめきを使いこなせる頭のつくり方』(細谷功著、KADOKAWA刊)では、ビジネスコンサルタント、著述家の細谷功氏が、思考力を身につけるために必要な能力の全体像を示し、それらの要素の概要を全体俯瞰して紹介する。

思考力を養う土台として重要な姿勢は二つある。それが「疑う心」と「具体と抽象」だ。一つ目の疑う心とは、常識を疑うことを日頃から実践しているかどうか、ということ。常識を疑うというのは、自分自身を疑うことにもつながる。

なぜ疑う心が重要なのか。そもそもの前提が間違っていたら、いくら推論が正しかったとしても、結論が違う可能性が高いからだ。そのため、前提が違うのではないかと疑ってみることが、正しい結論を検証していくために必要な姿勢となる。そして、事実をできるだけ偏見を持たずにありのままに見ることも大切。それには、物事を善悪や常識・非常識で簡単に判断しないことが必要となる。

二つ目の「具体と抽象」は、思考力全般で考えた時に不可欠な考え方となる。具体というのは、直接目に見える個別ものや事象であり、何らかの実体とつながっている。なので、思考力の最終的なアウトプットである結論というのは、具体性がないと意味がない。

一方、抽象のメリットは、応用を利かせられること。具体と違って目に見えず、実態とは乖離しているが、解釈の自由度が高く、応用が利くという特徴がある。そして、具体と抽象を往復することで思考を膨らませることが重要となる。

時代や働き方の変化が激しい今、取り残されないためにも思考力を身につけることで、自ら考え、実践していく力となるはずだ。

(T・N/新刊JP編集部)