2016年から2017年にかけて世界中で起きている「波乱」は、これから向かう未来の混迷ぶりを表していると言える。

ヨーロッパではその動きが顕著に見える、イギリスが国民投票によってEUからの離脱を決定。フランスの大統領選挙は経済界の支持を受けたエマニュエル・マクロンが勝利したものの、新党という点から不安が残る。また、今年後半にはドイツで連邦議会選挙を控えている。

『未来からの警告 2 トランプの破壊経済がはじまる』(集英社刊)の著者で、独自の「Tモデル」「T2モデル」を用いて経済を予測する経済アナリストの塚澤健二氏は、本書の中でドナルド・トランプ米大統領の「破壊経済」を発端にした世界の大変動を予測している。

4回にわたってお送りする、塚澤氏に聞く「2017年後半の経済トレンド」。第3回の舞台はヨーロッパを中心にした世界の動き、そして2017年の「大転換」と「第二のリーマン・ショックの予兆」についてお話をうかがった。

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今回は「2017年」という年を大きな軸についてお話をしましょう。今年はフランスとドイツで大きな選挙が行われています。そのため、アメリカや日本だけではなく、ヨーロッパにも注目すべきです。

5月に行われたフランスの大統領選挙では、エマニュエル・マクロンがマリアーヌ・ルペンを制しました。経済界からの後押しがあったこともあり、メディアや富裕層からは概ね好評価を受けていますが、私は疑問です。

マクロンが率いる「共和国前進!」は新党です。6月のフランス国民議会選挙ではその新党が圧勝しましたが、新党の候補者の過半数は「政治経験がない人たち」だと言われています。つまり、議会から、これまでフランスの政治を担っていた人たちがいなくなってしまったというわけですね。政治経験がない人たちの政権が生まれたと考えれば、フランスは極めて不安定な状態だと思いませんか?

そして、今年後半にはドイツで連邦議会選挙が行われますが、こちらも注目です。アンゲラ・メルケル首相もどうなるか…様子を見てみないと分かりません。

他にもヨーロッパには課題が山積みです。右傾化については、スコットランドやカタルーニャ自治州の独立運動もどう転ぶか分かりません。イギリスのEU離脱に始まり、トランプの米大統領就任によって顕在化した、市民たちの「破壊」への渇望は続いています。

実は2017年が大きな転換の年になることは予測ができていました。それは世界各国の政局が動いているという事実とともに、もう一つ大きな「法則」があるからです。

これは、前著『未来からの警告! 2017超恐慌時代の幕が開く』でも書いたのですが、過去、西暦末尾に「7」のつく年は世界的な金融危機が発生しています。それも10年ごとに、です。

1987年はブラックマンデー。1997年はアジア通貨危機。2007年はサブプライムショックです。それらはいずれも、アメリカが政策金利を引き上げるなど金融引き締め策に転換したことが原因でした。今年はどうでしょうか。FRBは2015年12月のFOMC((連邦公開市場委員会)で9年半ぶりに金利を引き上げました。つまり、これまでの展開と同じ事が起きています。この金利引き上げが、大規模な金融危機に結びつくとすれば、おそらく2018年に明確な姿を現すでしょう。

では、具体的にどの数字を見れば、金融危機を察知できるのでしょうか。私が指摘するのは「株安」「商品安」「ドル高」の組み合わせです。この3つが同時に出てきたら「最悪の状態」と考えてよいでしょう。

同時にこの3つが出ている状態というのは、「信用収縮の合図」です。「株安」「商品安」はマーケットが収縮している状態を表しています。つまり、市場から資金が一斉に逃げ出している状態なんですね。そこで様々な取引を手仕舞うために、決済資金が必要になり、米ドルの需要が高まる。すると「ドル高」になります。もちろん、金もドル調達ために売却され、下落します。こうなると、「第二のリーマン・ショック」待ったなしでしょう。

再びリーマン・ショック規模の金融ショックが訪れると、向こう7〜8年は株価が元に戻らなくなります。ちょうど今は天井をつけにいっている最中で、「株安」「商品安」「ドル高」の3点セットが揃うまでには、もう少し猶予がありそうです。

(新刊JP編集部/取材日:6月21日)