会社員として働きながら副収入を得られるということで、不動産投資は今も昔も人気です。

ただ、不動産仲介会社のオススメ物件を購入するだけでは、なかなか継続して利益を出すのは難しいもの。不動産で成功する人は皆、独自の戦略と工夫を持っています。

今回はその成功の秘密を探るべく、『3年で年収1億円を稼ぐ 「再生」不動産投資』(ぱる出版刊)の著者、天野真吾さんにお話をうかがいました。
(新刊JP編集部)

―― 一般的に中古物件に投資する際は、「立地が良く、利回りが高く、入居率が高い」といった判断基準で購入する物件を選びがちですが、天野さんのやり方はそれとはまったく異なります。

まず、「立地が良く、利回りが高く、入居率が高い」という基準での物件選びにはどんなメリット・デメリットがあるのかを教えていただきたいです。

天野:「立地が良く、利回りが高く、入居率が高い」というのは、言ってみれば不動産投資の鉄板です。こういう物件を選べば、失敗することはまずありません。

ただ問題は、こういう物件が売りに出ると、購入したい人がそれこそ100人も200人も殺到することです。もちろん、買えるのは1人。ものすごいレッドオーシャンを勝ち抜かないといけないのが、デメリットといいますか難点です。

――買いたくても、まず手に入らない。

天野:しかも、どんな人にも公平にチャンスがあるわけではなくて、一番有利なのはキャッシュで買える人です。その次にローンの頭金を多く持っている人や自己資金が厚い人。そして社会的地位が高い人です。

世の中には10億円の物件でもキャッシュで買う人がいます。サラリーマンと掛け持ちして不動産をやろうという人が、そういう資金の潤沢な人と競うのはかなり分が悪い。ならば、資産家たちが目をつけない「二流物件」を手に入れて、再生させよう、というのが私のやり方です。

――天野さんの手法は、空室の目立つ「二流物件」を割安で入手し、リノベーションによって満室にして、利回りがよく、物件価値も上がるように運営するというものです。一般的に、空室の多い物件の特徴としてどのような点があげられますか?

天野:主に3パターンあります。まずは何らかの事情があって運営がうまくされていないケースです。たとえば、企業が所有・運営している物件でよくあるのですが、その企業が倒産寸前であったり、あるいは倒産してしまって裁判所預かりになっている物件です。

こういう物件だと、メンテナンスやリノベーション、リフォームはまず行われませんし、管理会社・仲介会社が入居者募集をできない状況です。つまり「今いる入居者だけは、出て行くまでなんとか面倒を見ましょう」という姿勢なわけで、当然空室率はどんどん上がります。

二つ目は、条件が悪い物件です。立地が悪かったり、家賃設定が高かったりということですね。

最後の三つ目は、大家さんのやる気がない物件です。条件もいいし、綺麗な物件なのに、大家さんが運営に乗り気じゃないばかりに入居者が集まらないということもあるんです。これは、親から引き継いだ大家さんに多いかもしれません。

親の資産って、子どもからしたらいらないものも多々あるわけですよ。不動産経営に興味がない子どもの場合、物件の権利と現金を相続しても、関心があるのは現金の方だけだったりするわけです。

そういう人が大家だと、不動産運営を面倒事としか思いません。入居者の要望を聞いたり、クレームの処理をしたり、大家のやることは結構ありますから、資産をもらったというよりも、厄介なものを押し付けられたという感覚の人も多いんです。

となると手をかけませんから、自ずと建物は荒んできて、私のような投資家からすると「これはいいぞ」という二流物件になっていく。

――企業が社員寮として持っていた物件に以前住んでいたことがありますが、家賃の割にきれいで住み心地が良かったです。

天野:会社の寮は、要は社員の福利厚生であって、あまりチープなものを社員に提供できませんし、会社側もそこで儲けようとは思っていないので、通常の賃貸向け物件より2グレードくらい作りがいい物件が多いです。

こういう物件はおもしろいですよ。バブルの頃に建てた寮だとか保養施設を、業績が悪化して売りに出さないといけないというケースが多々あるのですが、表立って売りに出せば業績が悪いと言っているようなもので、株価やステークホルダーに影響が出てしまいますから、大抵は内密に売り出すんです。

そうなると値段がかなり抑えられて、首都圏なのに建築価格の半分くらい、しかも土地はタダ、くらいの条件で売りに出ていることがあります。その代わり、守秘義務を絶対に守れる人にしか売らないという。

――なるほど。しかし、そういう物件というのは探してもなかなか表には出てきませんよね。

天野:普通に投資物件を買うという目線で探しても見つからないと思います。

私を含めて、築が浅かったり、状態のいい「二流物件」を見つけていく人間は、物件より先に企業の経営状態であったり、相続の状況を調査します。倒産しそうな会社というのは、財務諸表を見ればある程度見抜けますから、そういう会社の所有物件を調べていくと、売りに出そうな物件は見えてきます。

相続された物件については調査が難しいのですが、所有者が亡くなってしまえば、誰かに引き継ぐか、売却するという流れになります。これは知り合い伝に私のところに相談がくることが多いですね。

――いずれにしても、普通に不動産仲介会社をあたっても見つからなそうです。

天野:実はそんなこともないんです。こちらの意向をしっかり伝えれば、見つかることもあります。

ただ、投資用不動産を探すとなると、先ほども出た「立地が良く、利回りが高く、入居率が高い」という条件で物件を紹介してもらう方がほとんどです。そのリクエストでは見つからないということです。

「ボロボロでいいし、空室率が高くてもいいから、ポテンシャルのある物件を」とリクエストすれば、その条件で探してくれます。そんなリクエストをする人は珍しいですから、いい物件が入ったら独占できると思います。
(後編につづく)