人間にとって安全で快適な家は、老犬にも安全・快適な環境でしょうか? 高齢になれば犬も老化します。“老犬の目線”で見ると、家に危険が潜んでいる可能性があります。あと少しの工夫で、もっとストレスのない、快適な環境になるかもしれません。健康寿命を縮める要因になるケガやストレスを防ぐ家、生活環境について考えてみましょう。

犬の目線で家を見直そう

 犬も年をとるにつれて足腰が弱くなり、寒暖の差もこたえるようになります。人間社会の住宅や公共機関のバリアフリー、温度管理などをお手本にして、老犬に配慮した家を心がけることが大切です。

 ただし、人間にとって安全で快適な家が、犬にも同じように安全・快適とは限りません。姿勢を低くして文字どおり“犬の目線”になって家をチェックしてみましょう。

姿勢を低くして“犬の目線”で家をチェック

 犬への配慮のつもりで低めのソファを使っていても、小型犬の目線で見たら丘のように見えるかもしれません。老犬には部屋の段差でも越えるのに苦労する障害物になる可能性もあります。“犬の目線”からさらに踏み込んだ“老犬の目線”で、安全で快適な家、ストレスのない環境をつくりましょう。

家具や段差に注意して、老犬にも安全な家に

 老犬は視力が落ちてくるので、部屋のレイアウトを変えたり大きい家具を増やしたりすると、ぶつかってしまうかもしれません。宅配便の荷物などを置きっぱなしにするのも危険。慣れ親しんだ家の状態を変えないように心がけましょう。テーブルの角などとがった部分には幼児用の安全カバーを取り付けるのも事故防止になります。

 出入り口のレールなどの段差はマットで覆って解消し、つまずきを予防しましょう。玄関やソファなどの大きな段差にはスロープの設置を。勾配の角度を調整できるタイプならいろいろな場所で使えて便利です。スロープを設置したらおやつで誘導して上り下りさせ、使い方を教えてあげましょう。

 フローリングの床は犬の足の負担をかけるため、滑りにくいパネル状のタイルカーペットなどを敷きましょう。犬の生活スペースに弾力のあるバスマットを敷き詰め、より安全にするアイデアもあります。階段には念のためセーフティガードをつけておき、足腰が弱ってきたら上り下りのときに支えてあげましょう。

室温をチェックし、犬にストレスのない環境に

 犬が過ごしやすい適温の目安は、人間よりもやや低めとされています。高齢になると温度変化に鈍くなるので、犬の生活スペースの温度をときどきチェック。エアコンの風が直接当たらないように風向きや位置を調節しましょう。

 生活リズムが崩れないように、朝はカーテンを開けて日差しを浴び、夜は暗くして寝かせる習慣をつけましょう。人間は深い眠りについている間に成長ホルモンが分泌され、細胞の修復や疲労の回復が行われることがわかっています。別名“若返りホルモン”とも呼ばれるほど! 犬の睡眠は研究段階ですが、心身を休ませる大切な時間であることは間違いないと思っていいでしょう。

生活リズムが崩れないようにしよう

 犬のベッドや食器は雑菌や寄生虫の温床になりやすいので、こまめに洗ったり取り替えたりして清潔に保ちましょう。

 ちょっとの工夫で、犬のストレスが解消され、快適さが増します。

犬を屋外で飼うなら迷子防止対策を

 犬を庭など屋外で飼っている場合は、迷子防止対策が重要です。家族や来客が門扉を開けた拍子に犬が出て行ってしまわないように二重扉にする安全対策を。もし犬をつなぐ場合はある程度自由に動けるようにしましょう。空中にワイヤーを張ってつなぐと犬にリードがからむ危険を減らせます。

 室内よりも暑さ寒さを直接受けるので、老犬に限らず快適に過ごせるように対策が必須になります。高齢になったら飼育場所を室内へ切り替えてあげてください。

老犬は引っ越し、環境変化が苦手

 老犬は新しいことを受け入れにくくなります。引っ越しなどで環境が変わる場合、慣れ親しんだ愛用品はそのまま使いましょう。もし家が変わっても、安全で快適なことがわかればやがて落ち着きます。

 老犬の目線でつくられた家は、子犬や成犬の年代にとっても安全で快適です。犬種や個性に合わせて家庭で工夫してみましょう。