ペット関連の法律に詳しい細川敦史弁護士が、飼い主のくらしにとって身近な話題を、法律の視点から解説します。今回は、ペットの葬儀や霊園サービスについてです。

ゆりかごから墓場まで、さまざまなペットサービス

 今やペットには、生まれてから死ぬまで、さまざまなサービスが用意されています。

 例えば、しつけや訓練、写真撮影、ドッグラン、ペットホテル、ペットシッター、ペットタクシー、トリミング、老犬老猫ホーム、ペット保険、獣医療など。

 そして、ペットが亡くなったときは、飼い主の悲しみに寄り添い、最後のお別れのお手伝いをするペット葬儀・ペット霊園のサービスが定着しています。

 こうしたペット葬儀・霊園業ですが、意外にも、法律による規制はありません。

 動物愛護管理法は、生きている動物に関する業者を規制の対象としていますが、亡くなったペットを取り扱うペット葬儀・霊園業はこれに含まれません。

 また、「墓地、埋葬等に関する法律」は、墓地や火葬場を経営するには知事の許可を要すると定めていますが、動物についてはこの法律の適用はないとされています。

 さらに、動物霊園事業において取り扱われる動物の死体は、「廃棄物」には該当しないとされていますので、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」による規制も及びません。

 これを図にすると、以下のようなイメージになります。

 もっとも、ペットの死体の安置や火葬によって生じる臭いや煙などが近隣に迷惑を及ぼすおそれがあるため、生活環境の保全や公衆衛生の向上のために、条例を制定して、開業に際して市町村長の「許可」を必要とする自治体がかなりあります。

 規制の具体的内容としては、ペット霊園から公共の施設や住宅まで一定の距離を設けること、近隣に迷惑とならないような設備を備えることを許可の条件とするものが多く、近隣住民に対する説明会の実施を義務づけている条例もあります。

 2010年には、ペット葬儀業者が犬など約100匹の死体を埼玉県の山中に大量遺棄した事件が大きく取り上げられ、また、高額請求などの消費者トラブルもクローズアップされたこともあり、それ以降に条例を制定した自治体は相当増えました。

 2017年にも、大阪府のペット霊園が突然閉鎖し、大量の遺骨が放置された事件が発覚しています。

知り合いの口コミ評価が大事

 さて、利用者・消費者にとって、よい業者と問題ある業者の見分け方は簡単ではないと思います。

 ペット葬儀の業界は、高価で性能のよい機械があっても、人の対応がまずければ利用者は満足できませんので、ハード面(火葬炉などの設備)よりもソフト面(スタッフの接客)が重要とされています。

不安そうな猫

 そこで、人の接客態度と、希望する火葬方法(合同か個別か、立ち会いや返骨の要否など)に対応する費用などがチェックポイントになります。

 費用は安ければいいというものではなく、予期しないオプション費用の請求やグッズの押しつけ販売もありうるので、他社に比べて安すぎる場合は逆に注意が必要です。

 情報の入手方法は、ペット仲間や知り合いから口コミの評判を集めるのが一番大事です。インターネットは、簡単に多くの情報を集めることが可能ですが、情報の正確さを保証するものは何もないので、情報収集の取っかかりとして使うか、補充的なものにとどめた方がいいでしょう。

獣医師から教えてもらう方法も

 かかりつけの獣医師が火葬業者を知っていれば、そこを教えてもらうことも一つの方法です(イギリスでは、獣医師が葬儀業者の手配の窓口になることが一般的だそうです)。

 ただし、あくまでも情報提供であり、その業者に問題がないことを獣医師が保証するものではないので、最終的には自己責任で判断することになります。

 葬儀業者の業界団体に問い合わせるという方法もあります。しかるべき入会審査を経て会員になっており、また、団体に所属しているため、問題ある営業活動ができにくい土壌があるといえるので、一つの安心材料になると思います。

 また、地方自治体の中には、比較的低料金で、一般ごみと一緒にしない形でペットの火葬をしてくれるところがあります。中には、火葬後に返骨されるところや、市外居住者の持ち込みも可能なところがあるので、あなたの住んでいる自治体の取り扱いを確認してみるとよいでしょう。

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