柴犬と花

 春爛漫! 新緑がまぶしいこのシーズンは、ワンちゃんとのお散歩も楽しくなるもの。一方、季節の変わり目となると、「どこか元気がない」「食欲が落ちているかも」など、気になる症状が出てくることもあるのではないでしょうか。そんなときに知っておきたいのが「東洋医学のケア」です。

 そこで「アニマルライフパートナー」の院長で獣医中医師・丸田香緒里さんにじっくりとお話を伺いました。これから4回に分けて、動物と東洋医学のいろはを解説してもらいます。初回のテーマは「春こそ知っておきたい養生法」。すぐにできるワンちゃんマッサージのコツも読み逃しなく。

春はストレスがたまりやすい?

「春って、新しく学校が始まったりお花見を計画したり、ほかの季節に比べてどこか気持ちがウキウキしませんか? それは気温が上がって暖かくなることで、気の巡りがよくなるから。東洋医学の視点から見ると、きちんと理由があるのです」

 また季節ごとに性質があり、春は「発生」のシーズン。木々が新芽をつけ、枝が元気よく育っていくように、私たち人間はもちろん、動物たちもゆったりのびのびとした気分で散歩を楽しんだりするのがよいのだそう。

「さらに春が関連するが“肝”。ストレスの影響を受けやすいのが特徴で、イライラなどをため込むと、肝臓の病気になりやすいので気をつけましょう。ワンちゃんで表面化しやすいのが、慢性的に我慢を続けた結果、胆汁が泥のようになってしまう『胆泥(たんでい)』という病気。春だからこそお散歩をする、ドッグランに出かけるなどして、ストレスを発散させてあげましょう」

柴犬と花

四季それぞれに心がけたい暮らし方

 ちなみに夏は「生長」のシーズンで、関連するのは“心”。暑さで心が乱れやすいので、精神状態を安定させてあげるのが必要なのだとか(ちなみ東洋医学上、梅雨時期は「長夏」。“脾”をつかさどり、消化器系に影響が出やすく、下痢や嘔吐(おうと)となって表面化するワンちゃんも)。

「さらに秋は『収斂(しゅうれん)』のシーズンで、関連するのは“肺”。空気が乾燥し始めるので、早めに加湿器などをつけて、呼吸器をケアしてあげてください。活動的な春とは反対に、少しずつ生活を落ち着けて、心穏やかに暮らすことがよしとされています」

 そして冬は『閉蔵』のシーズンで、“腎”を司るそう。

「春夏で得た“陽の気”を、秋に体内に収め、冬はそれらを奪われないように内側に閉じ込めるというイメージ。とにかく身体をしっかり温めることが大切です。腎と膀胱(ぼうこう)はセットなので、膀胱炎にも気をつけてあげましょう」

おすすめの春ごはんレシピ

 四季それぞれの暮らし方を知った上で、さらに心がけたいのが、季節ごとのごはん。摂取するといい食材など、春のごはんについて聞いてみると、こんな答えが返ってきました。

「キーワードは“香りがいいもの”。たとえばシソやセロリ、春菊などはいかがでしょう。また“甘”はストレスのせいでダメージを受ける消化器系をいたわる働きをするので、甘さのあるものもおすすめ。かぼちゃを蒸して小さなお団子にするのもいいですね。さつまいもやレンコンなど、野菜の優しい甘みが感じられるものを食べさせてあげてください」

 ちなみに食物繊維はワンちゃんが消化できないので、擦るなどして工夫することが大切。たとえばレンコンは擦ったものに刻んだシソを混ぜ込んで、お焼きのようにしても。すると胃腸に負担がかからないのだそう。

今日から始めたい、簡単おうちケア

 さて最後に、春の不調に効く簡単マッサージを教えてもらいます。

「春はまだまだ寒暖差があり、昼間は暖かくても夜はグッと気温が下がるなど、意外と体は冷えているもの。そこでゆっくりとマッサージして、しっかり温めてあげることが大切です」

 マッサージする場所は、ワンちゃんのおなか。胸骨の下から内股にかけての骨のない部分で、人間でいう下っ腹のあたり。そこに手のひらをあてて、ゆっくり時計まわりにさすっていきます。

「触る前にまず手のひらを擦り合わせて温めましょう。その手のぬくもりをワンちゃんのおなかに伝えるように、そしてワンちゃんのぬくもりを手のひらに感じるぐらい、ゆっくりゆっくり動かすので大丈夫です。おなかには『関元(かんげん)』という腎の大事なツボがあるので、四季問わず、リラックスしたタイミングでトライしてみてくださいね」

 第2回となる次回は、「東洋医学は何を診るの? どう診るの?」をテーマにお伝えします。

監修:丸田香緒里(まるた・かおり)
Animal Life Partner
院長、獣医師。日本大学卒。動物病院勤務後「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。獣医中医師、ペット栄養管理士など様々な資格を生かし、病院での診療の他、シニアケアや飼い主の心のケアにより力を入れた往診診療を行う。