柴犬
硝酸ストリキニーネによる犬の毒殺の廃止のために「狂犬病予防法施行規則」の改正を!©Patrícia Hellinger on Unsplash

 2021年7月13日、JAVAは、三原じゅん子厚生労働副大臣に面会。狂犬病発生時の犬の薬殺に用いる薬品に指定されている毒物「硝酸ストリキニーネ」を、できるだけ苦痛の少ない麻酔薬へ変更する「狂犬病予防法施行規則」の改正を要望しました。

 本当でしたら薬殺そのものをなくしたいですが、殺処分がまさに行われている今、まず、私たちがすべきことは、できるだけ苦痛の少ない方法に改善することなのです。

三原じゅん子厚生労働副大臣ら
三原じゅん子厚生労働副大臣に「狂犬病予防法施行規則」の改正を要望

法律で「硝酸ストリキニーネ」と決められている

 狂犬病予防法において、「狂犬病のまん延の防止及び撲滅のため緊急の必要がある場合」かつ「抑留を行うについて著しく困難な事情があると認めるとき」に犬を薬殺できると規定されています。そして、「狂犬病予防法施行規則」で薬殺に用いる薬品は「硝酸ストリキニーネ」と指定されているのです。

 日本では1956年を最後に犬における狂犬病の発生はありませんが、今後、狂犬病が国内で発生するような事態になる恐れは皆無ではありません。万が一、狂犬病が発生し、薬殺をしないとならないような事態となった場合、「硝酸ストリキニーネ」と指定されている限り、使用される可能性は否めません。

硝酸ストリキニーネを用いることの問題点

非常に残酷

 しかし、この硝酸ストリキニーネは「毒物及び劇物取締法」で「毒物」に指定されている薬品です。硝酸ストリキニーネによる毒殺は、全身が弓なりにのけぞるほどの激しいけいれん、呼吸困難などを生じさせ、犬に非常に大きな苦痛を与える残酷な方法です。いくら狂犬病が発生し、殺処分を避けることができない緊急時であったとしても、このような残酷な方法で殺すべきではないのです。

動物愛護法や関連指針に反している

 動物愛護法では、「動物を殺さなければならない場合には、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によつてしなければならない」と定められています。
また、同法に基づく「『動物の処分方法に関する指針』の解説」(平成8年2月1日発行 内閣総理大臣官房管理室監修)には、「硝酸ストリキニーネは使用すべきではない」旨が記されています。

自治体では使わない努力をしている

 JAVAでは、自治体における狂犬病予防法に基づく業務における犬の薬殺の実態を把握するため、2019年2月に都道府県・保健所政令市127自治体に対してアンケートを実施いたしました(国や自治体以外のアンケートには回答しないという青森市以外はすべて回答)。

 その結果、2016年4月1日以降、薬殺を実施した自治体は2自治体のみで、いずれも硝酸ストリキニーネは用いずに、睡眠・鎮痛剤や麻酔薬を用いて実施したことが判明しました。その他の自治体は、使用したことがない、もしくは相当以前より使用していない、最後に使用したのがいつであったか不明という回答でした。また、現在、硝酸ストリキニーネを保有している自治体は46自治体にとどまることもわかりました。

 加えて、13自治体が下記のように条例や要綱において、硝酸ストリキニーネ以外の薬品を薬殺の際に使用できるように規定し、できる限り苦痛のない薬殺を行う努力していることがわかりました。

条例などで硝酸ストリキニーネ以外の薬品を規定している自治体の表
条例などで硝酸ストリキニーネ以外の薬品を規定している自治体(2019年JAVA調査)

 さらに、硝酸ストリキニーネを用いて犬を薬殺することについての考えを聞いたところ、次のように「適切な方法ではない」「他の薬品を用いるべき/他の薬品が望ましい」と考えている自治体が多くありました。同時に「法律で規定されている以上、それに従うしかない」と考えている自治体も多く、狂犬病予防法施行規則の改正がいかに重要であるかがわかります。

自治体の硝酸ストリキニーネを用いて犬を薬殺することについての考え
自治体の硝酸ストリキニーネを用いて犬を薬殺することについての考え(2019年JAVA調査)

国際基準に反している

 日本も加盟しているOIE(国際獣疫事務局)の陸生動物衛生規約のVOLUME I 第7部第7.7章「STRAY DOG POPULATION CONTROL(野良犬の個体数管理)」や、国際的にも大変重視されている米国獣医師会が発行している「AVMA Guidelines for the Euthanasia of Animals: 2020 Edition(米国獣医師会 動物の安楽死処置に関する指針2020年版)」において、動物福祉の観点から許容されない安楽死方法として、「ストリキニーネ」と記されています。

三原副大臣「前向きに検討する」

 そのため、JAVAはこれら硝酸ストリキニーネによる殺処分の問題点を副大臣に伝え、その上で、60年以上に及ぶ硝酸ストリキニーネの指定を見直していただいたいと「狂犬病予防法施行規則」について、次の改正を強く要望しました。

  1. 犬の薬殺に用いる薬品を「硝酸ストリキニーネ」とする記述を削除すること。
  2. 犬の薬殺を行う場合は、適切な麻酔薬を用いて、できるだけ苦痛を与えない方法によるとすること。

 自民党どうぶつ愛護議員連盟の事務局長でもある三原副大臣からは、「動物愛護の気持ちは皆さんと共有している」「要望事項については、専門家の方々の意見を聞く必要はあるが、前向きに検討したい」と言っていただきました。

 (次回は11月8日に公開予定です)

【前の回】

アカミミガメの動物実験用譲渡、須磨海浜水族園が廃止 20年4月以降は行わず